永瀬拓矢王座 名誉王座へ崖っ縁 1分将棋1手目の悪夢「エアポケットに入ってしまった」

[ 2023年9月28日 04:50 ]

第3局に敗れた永瀬拓矢王座(撮影・椎名 航)
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 藤井聡太王将(21)=竜王、名人、王位、叡王、棋王、棋聖含む7冠=が永瀬拓矢王座(31)に挑む第71期王座戦5番勝負第3局(日本経済新聞社主催)は27日、名古屋市の名古屋マリオットアソシアホテルで指され、先手の藤井が81手で勝利した。対戦成績を2勝1敗とし、史上初の全8冠独占へ王手をかけた。一方、連続5期獲得による名誉王座が懸かる永瀬はカド番へ追い込まれた。第4局は10月11日、京都市のウェスティン都ホテル京都で指される。

 1分将棋に入ってから永瀬が指した1手目が、勝負の分かれ道となった。優勢で進めていた終盤戦。藤井が「最後のお願い」で打った飛車の王手に対し「金底の歩は岩より堅し」という格言通り、対応すれば事件は起きなかったはず。飛車交換を促す飛車合を敢行し、大量リードが一気に解けて消えた。逆転した局面を見て、永瀬は頭をかきむしる。「エアポケットに入ってしまった。対応がうまくできなかった」。言葉に悔しさがにじんだ。

 先手番で圧倒的強さを誇る藤井に対し、練りに練った作戦で後手番の対局に臨んだ。9筋の歩を2つ伸ばし、囲いは雁木(がんぎ)。実践例は過去に3局ほどしかなく「先手の対応によっては振り飛車にする可能性もあった」と振り返る。細かい攻めをつなぎ「難しい展開が続いたが、終盤は勝ちになっている気がした」と手応えを感じていただけに、無念の表情を見せた。

 今シリーズは永瀬にとって、連続5期獲得による名誉王座が懸かる。痛い敗戦となったが、第4局まで約2週間。「まだ時間はある。精いっぱい準備したい」と、タイトルホルダーとしての執念を見せていた。

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