藤井聡太叡王 3連覇へ先勝も冷や汗 時間使い切り先に1分将棋

[ 2023年4月12日 05:04 ]

叡王戦5番勝負に先勝し、感想戦を行う藤井叡王
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 将棋の第8期叡王戦(不二家主催)5番勝負は11日、東京都千代田区の江戸総鎮守・神田明神で第1局が指され、3連覇を狙う先手の藤井聡太叡王(20)=王将、竜王、王位、棋王、棋聖含む6冠=が、挑戦者・菅井竜也八段(30)に147手で先勝した。

 棋譜的には快勝の部類に入る。だが藤井自身はたっぷりと冷や汗をかいていたに違いない。「(序盤は)どう戦えばいいか分からないまま進めていました。(仕掛けたあとは)いったん受け止められ、あまりうまくいっていないと。仕掛けていった成果が上がってないので…」

 象徴的な場面は103手目。リードを奪っていたにもかかわらず、持ち時間の4時間を先に使い切ってしまう。2月23日の朝日杯準決勝(対豊島将之九段)以来となる窮地だ。ただ朝日杯は早指し戦。長時間の持ち時間で戦う棋戦では2月1日のA級順位戦(対永瀬拓矢王座)以来、実に13局ぶりで相手より先に1分将棋への突入を強いられた。ちなみにこの永瀬戦では痛い黒星を喫している。

 記録係が59秒まで読み上げ、あわや「切れ負け」寸前で指した▲5五同歩の手つきからは狼狽(ろうばい)のムードが漂っていた。局後には「どういう方針で指すかが分からなかったんです」と動揺の心境を明かしている。

 ここ1、2年はタイムマネジメントに格段の成長を見せていた藤井だが、タイトル戦初となる振り飛車党への応接には戸惑いが先走った。23日に名古屋市の名古屋東急ホテルで行われる第2局に向けては「時間配分を含め、よりよくできるようにしたい」と自らを戒めてもいる。一筋縄ではいかない難敵を相手にした対抗型シリーズ。過去13回のタイトル戦とは異なる様相を呈してきた。(我満 晴朗) 

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