若狭勝弁護士 死刑求刑でも「無期懲役という形に落ち着く可能性が高い」山上被告の量刑に言及

[ 2023年1月13日 16:13 ]

弁護士の若狭勝氏
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 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士が13日、TBS系情報番組「ゴゴスマ~GOGO!Smile!~」(月~金曜後1・55)にリモート出演。安倍晋三元首相銃撃事件で殺人と銃刀法違反(発射、加重所持)の罪で起訴された山上徹也容疑者(42)の今後の裁判について言及した。

 奈良地検はこの日、殺人と銃刀法違反(発射、加重所持)の罪で山上被告を起訴。約半年間の鑑定留置で事件当時の精神状態を調べた結果、刑事責任能力を問えると判断した。山上被告は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みから事件を起こしたとされ、今後の公判では動機の解明が焦点となる。

 若狭弁護士は裁判の開始時期について「今年の秋以降に裁判が始まれば早い方だと思いますが、通常は来年になる可能性が高いと思います」と2024年以降になるのではとした。

 その上で量刑について「まず判決の前に検察が死刑を求刑するか、無期懲役を求刑するか」と指摘。「今回の事件、旧統一教会がらみの情状酌量とか、そういうところに関連してくるわけですけど、検察が無期懲役を求刑すると、検察としてもいろんな背後、背景の事情をやっぱり考慮しなければいけないと。厳しく罰する側の検察が判断したということになります」とした。「逆に検察が死刑を求刑するとなると、やはりこれは悪質極まりない事件だということで死刑は当然だということ。そこで検察が死刑を求刑した場合に判決でどうなるかってところだと思います」と検察が無期懲役か死刑、どちらを求刑するかがまず注目とした。そして「検察が無期懲役を求刑すれば、可能性として判決も無期懲役になると思います。検察が死刑を求刑した場合、どうか?っていうと、私の見通し、予測では判決は検察が死刑を求刑したとしても無期懲役という形に落ち着く可能性が高いと思っています」と私見を述べた。

 「永山基準」もあり、日本の死刑制度は被害者が1人の場合、死刑判決が言い渡されることは極めて異例と言えるが、若狭弁護士は「今回はオープンスペース、要するに路上で銃を発射して射殺したと。日本は銃社会ではないので、銃の発射はそれだけでも無期懲役という刑が用意されているんですよね」と言及。「ですから、その意味において、その上、一瞬にして絶命を余儀なくさせられたという殺人、これを加えると、当然、無期懲役プラス殺人は死刑も法定刑にあるわけですから、1人だったとしても死刑求刑は当然でしょって考え方が検察にはあると思う」と検察側が死刑を求刑する可能性も十分あるとした。

 また、亡くなったのが安倍元総理という国のトップを務めた人物だったことは一般人を殺害した場合と比べて量刑に影響するのかについては、「今回は選挙期間中の選挙応援演説で射殺されている。同じ殺人と言っても同じ1人だけと言っても状況が違うと。選挙妨害、公職選挙法違反にもなるわけですけど、その点はやはり選挙は民主主義の基盤ですから、それを妨害した結果は他の案件とは違う特記すべき事情だと言えます」とコメント。「元総理大臣か一般の人かというのは、公平の観点で別個扱わなきゃいけないという考え方はありますけど、個人的な意見としては安倍さんの政治信条が良い悪いは別として、日本の総理としてずっとやってきたわけですから、その功績いろんな意見を発信する人、そういう人を亡くしたというのはやはり、他の人と比べてその辺の重みを考え、情状を考えるのは可能だと思います」と情状面に影響があるのではとした。

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2023年1月13日のニュース