【前回の鎌倉殿の13人】第19話“大河絵”「真似をしてはいけない法皇様 長澤まさみ 時をかける囁き」

[ 2022年5月22日 08:00 ]

イラストレーターの石井道子氏が描いたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第19話“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)「真似をしてはいけない法皇様 長澤まさみ 時をかける囁き」
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は22日、第20話が放送される。新進気鋭のイラストレーター・石井道子氏が描く“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)とともに前回の第19話(5月15日)を振り返る。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第19話は「果たせぬ凱旋」。鎌倉入りを許されず、京に戻って悲嘆に暮れる源義経(菅田将暉)。北条義時(小栗)は大江広元(栗原英雄)に知恵を借り、源頼朝(大泉洋)と義経との関係修復を模索するが、後白河法皇(西田敏行)はそれを許さない。愚痴を漏らす頼朝に対し、苦言を呈す八重(新垣結衣)。この状況を政子(小池栄子)が憂う中、義経をめぐって里(三浦透子)と静御前(石橋静河)が対立。さらに、源行家(杉本哲太)が義経に近づいて頼朝への疑心を煽り…という展開。

 行家と後白河法皇にけしかけられ、義経は頼朝追討の挙兵に追い込まれた。以前、兄と劇的な対面を果たした黄瀬川。思うように兵が集まらず、いったん九州へ逃げ、再起を図った。

 自ら出陣した頼朝だったが、義経失踪の報を受け、鎌倉に引き返し。北条時政(坂東彌十郎)に義経を捜し出し、捕らえるよう命じる。時政は鎌倉武士初の京都守護として義時とともに軍勢を率いて上洛。義経と行家を捕らえるためと称し、畿内をはじめ西国諸国を頼朝が治めることを後白河法皇に強く迫り、統治権を手に入れた。

 そして、時政と義時の宿所に失踪中の義経が現れる。

 義経「捕まえたければ捕まえるがいい。逃げるのにも飽きた」

 時政「九郎義経は、九州へ逃げ落ちたと聞いておる。かような所にいるはずはない。偽者であろう(笑み)」

 義経「兄上とのこと、今から何とかならぬか」

 義時「ご存じないようですが、法皇様は九郎殿追討の宣旨を出されました」

 義経「はぁ…祈るような思いでここへ来てみたが、無駄だったか」

 義時「申し訳ありません」

 義経「平家を滅ぼしたのは、ついこの間ではないか。私の何がいけなかった」

 義時「九郎殿は、人をお信じになりすぎるのです」

 時政「策に長けた者は、かえって騙されやすいものだ」

 義時「この後は、どうされるおつもりですか」

 義経「さぁ、奥州にでも帰ろうか」

 義時「おやめなさい。九郎殿が奥州に入れば、必ずそこに戦の火種が生まれます。戦はもう、終わりにしましょう」

 義経「戦のない世で、私のような者はどうやって生きていけばよいのだ」

 義時「あれだけ平家を振り回したお方です。あれだけの知恵があれば、どこでも生きていけます」

 義経「(立ち上がり)御台所に伝えてくれ。九郎は、御台所の膝の温かさを、生涯忘れないと」

 義時「必ず」

 時政「あなたはおっしゃった。(立ち上がり)経験もないのに自信もなかったら、何もできぬと。では、自信をつけるには何が要るか。経験でござるよ。まだまだこれからじゃ」

 義経「さらばだ」

 時政「まるで、平家を滅ぼすためだけに、生まれてこられたようなお方じゃな」

 義時「九郎殿は、真っすぐすぎたのです。うらやましいほどに」

 行家は義経も振り回し、思うように兵が集まらないと「おまえの戦に義がないからじゃ。挙兵はならぬと申したのに。おまえを信じた、わしが愚かだった」と義経に見切りをつけた。義経は「叔父上が言いますか!」――。

 「源行家。彼を味方をつけた者は、必ず負けるという死神のような男。鎌倉方に捕まり、首をはねられるのは、これより少し後のこと」(語り・長澤まさみ)。行家と関わった義円(成河)や木曽義仲(青木崇高)は落命。義経も“疫病神”に取り憑かれてしまった。

 後白河法皇は義経が鎌倉に戻ることを許すまいと、脈を止める芝居を打った。「真に迫っておったであろう。(脇から手鞠を取り出し)これをの、脇でぎゅんっと挟んでおくとの、しばし脈が止まるのだ」――。間髪入れず「真似をしてはいけない」と語り・長澤によるツッコミ。視聴者の爆笑を誘った。

 今回の“大河絵”は、行家の“ナレ死”と後白河法皇への“注意ナレ”が反響を呼んだ長澤も“時代を超えて”表現した。

 ◇石井 道子(いしい・みちこ)絵描き。千葉県生まれ。清野菜名と松下奈緒がダブル主演を務めたテレビ朝日の昼帯ドラマ「トットちゃん!」(2017年10月期)の劇中画をはじめ、ウェブマガジン表紙などを手掛ける。「ALL OF SHOHEI 2021 大谷翔平写真集」「スポニチ URAWA REDS 2021 浦和レッズ特集号」(スポーツニッポン新聞社)などにイラストを掲載。ライブペインティングや即興似顔絵も各地で行う。

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