石川さゆり アコースティックライブで聞かせた歌の艶

[ 2020年11月26日 16:00 ]

浅草公会堂でのアコーステイックライブで歌う石川さゆり
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】歌手の石川さゆりが23日に東京・浅草公会堂でアコースティックライブを行った。

 演奏はピアノ、バイオリン、チェロ、ギターの4人だけ。コロナ禍でコンサートが休止になったためスタートさせたYouTubeチャンネルの企画から派生した編成だ。音が少ない分、歌の色艶がよく分かる。

 2部構成で、第1部は洋服で登場。ヒット曲「天城越え」で始まり、17歳の時に歌った「霧のわかれ」も披露した。「霧のわかれ」は、♪もうなにも 言うことはありません…と、恋人との別離を歌う曲。合間のトークで「17歳の時、何を理解して歌っていたのだろうと思う」と言ってほほえんだ。それにしても、歌声が若い。10代の時の曲でも全く違和感がない。

 第2部は着物で登場。中盤の「惚れたが悪いか」が胸に響いた。歌い始めのドスのきき方、途中の艶やかな情緒性、そして、サビの突き抜ける高音。子供の頃からザ・ビートルズをはじめロックばかり聞いて来た私のような人間にも深く突き刺さってくる。歌詞のモチーフは昭和の阿部定事件。そこに描かれる異様な激情はとても演歌の世界に収まりきらない。こんな難曲を歌えるボーカリストはざらにはいないだろう。

 第2部の最後はヒット曲「津軽海峡・冬景色」。♪こごえそうな鴎(かもめ)見つめ 泣いていました…。ピアノ、バイオリン、チェロ、ギターだけの演奏で聞くと、見える風景がより鮮明になる気がした。

 アンコールでは大みそかのNHK紅白歌合戦出場を報告。「大みそかはテレビを見ながら『さゆりちゃん!待ってました!』とコールしてください。私もみなさんが声を掛けてくださっているんだと思いながら、思いきり歌いたい」と話した。

 ラストは最新シングル「しあわせに・なりたいね」。作詞はKinuyo。自身の本名のローマ字表記だ。「私は歌い手は詞や曲を書かないものだと思っている。作詞の先生、作曲の先生が書いた素晴らしい曲に血を通わすのが歌い手の役目だと思っている。でも、今年は自分の今の気持ちを届けたいと思って詞を書いた。私の気持ち、みんなの気持ちが歌になったかなと思う」。♪空は青く続くのに なぜか悲しくて…と静かに日常を歌う曲。柔らかい羽毛布団を優しく掛けてくれるような、温かいエンディングだった。

 来年1月にはコンサートを再開し、通算127作目のシングルも発売する予定。年を重ねても変わらない、確かな推進力に励まされる思いだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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