豊島竜王、羽生九段討ち 竜王戦史上最短52手 双方の王動かずノーガードの“打ち合い”

[ 2020年10月11日 05:30 ]

第33期竜王戦7番勝負第1局 ( 2020年10月11日    東京・渋谷区 セルリアンタワー能楽堂 )

竜王戦7番勝負の第1局で羽生九段(手前)を破り、感想戦で対局を振り返る豊島将之竜王(代表撮影)
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 将棋の第33期竜王戦7番勝負第1局は10日、東京都渋谷区のセルリアンタワー能楽堂で第2日が指され、後手番の豊島将之竜王(30)が挑戦者・羽生善治九段(50)を52手で破り、1勝目を挙げた。タイトル獲得通算100期に王手をかけている羽生は黒星スタート。第2局は22、23日に名古屋市の亀岳林・万松寺で行われる。

 不思議な投了図だった。双方の王がデフォルトの位置に鎮座したまま最後まで動かない。いわゆる「駒組み」すら未完成。「20手目くらいから終盤になっているので、結構難しい将棋というか…。短手数でしたが難しい将棋でした」。勝った豊島でさえ疑心暗鬼の特異な進行だった。

 52手での終局は、藤井猛竜王に鈴木大介六段(いずれも当時)が挑んだ1999年第1局の66手を大幅に更新する竜王戦7番勝負の短手数新記録。この数字だけでは豊島の圧勝に見えるが、水面下ではトッププロによる深遠な熟考が激しく応酬していた。重いムードの感想戦を終えた豊島は「封じ手のあたりがやはり難しかった。自分もあまり指したことがない将棋。急所が分かっていなかった」と心境を吐露。途中で羽生が自身の王頭を金で保護する手順を採用していたなら、小差のまま難解な終盤になだれ込む可能性もあったという。

 それでも序盤から両腕のガードを下げたまま打ち合いを挑み、相手のわずかな隙を見逃さず終盤は一気のラッシュ。羽生に反撃機をほぼ与えなかった棋力は尋常ではない。王将、名人、棋王を保持する渡辺明3冠(36)と並び、現在の将棋界のトップに君臨する。今夏、棋聖と王位を瞬く間に奪取した藤井聡太2冠(18)に対しても通算6戦全勝。5日の第70期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)挑戦者決定リーグでは、中継に映し出されたAI形勢判断1対99の敗戦寸前から大逆転勝ちで、改めてその名を世間にとどろかせた。

 今回の竜王戦はタイトル通算100期の大偉業に挑む羽生が相手。同じ状況だった2年前の棋聖戦5番勝負では3勝2敗のフルセットで棋界のレジェンドを破り、自身初のタイトル獲得と同時に大先輩の壁ともなった。

 タイトル防衛戦で3戦全敗という意外な過去とも決別したい豊島は「良いスタートを切れました。これから調子を上げていき、積極的に指してきたいと思っています」と静かに語った。次局は15日の王将戦挑決リーグで前期挑戦者の広瀬章人八段(33)と対戦する。 (我満 晴朗)

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