「密接で濃いぶつかり合いを」マスク外した堺雅人、芝居できるうれしさコロナ禍で痛感

[ 2020年7月14日 05:30 ]

半沢直樹 令和の倍返しだ!(1)

「倍返し」再び!鋭い眼光を見せる半沢直樹役の堺雅人(撮影・会津 智海)
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 2013年に社会現象を巻き起こしたTBSのモンスタードラマ「半沢直樹」。最終話の平均視聴率は平成ドラマ史上1位の42・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した。その続編が19日にいよいよ放送開始。スポニチ本紙は14日から連載「半沢直樹 令和の倍返しだ!」で、出演者の思いを伝える。初回は主人公・半沢直樹を演じる堺雅人(46)。不屈の男が令和の新時代に帰ってくる。

 前作と同じ、真夏の放送になる。「汗をかけってことですね」。冷房の効いた部屋で涼しげに語るが、現場では汗がほとばしるような演技のぶつかり合いの連続。戦闘服の黒いスーツにまで汗がにじむ。「現場の楽しさ?嫌というほどお芝居をさせてもらえるところですかね」。福澤克雄監督は数十秒のシーン一つにも、カメラの位置を何度も変えて何種類もの映像を撮る。そして、「もっと!」と俳優をけしかける。

 「福澤さんは何度もやるんですよ。何度も何度も。それが魅力。何度もやってダメな監督もいるから(笑い)。できる映像が物凄くいいという信頼が福澤さんにはあるので。苦ですけどね。しょうがないですよ、良いものができちゃうから」

 芝居ができるうれしさ。それをコロナ禍で痛感している。リハーサルまでフェースシールドを着用するなど、専門家の指導を受けて撮影しているが「本番だけはマスクを外せる。それは今皆さんができないことじゃないですか。だから、皆さんの分までぶつかり合いをしてるんだと思うと、頑張れる」。背負うものは大きい。

 銀行員が行内で数々の不正を暴き、「倍返しだ!」と悪行を働いた者を懲らしめる勧善懲悪の物語。前作は空前の大ヒットで、自身の代表作となった。ただ当の本人は「ずっと撮影していたからヒットの実感はなくて。今回は新作だと思ってやってますよ」とあっけらかんとしている。慢心もおごりもない。

 2月23日のクランクイン。笑顔であいさつして、リハーサルに入ると一変。背筋を伸ばし、眉間にシワを寄せ、険しい表情で背筋を伸ばして歩く。スタッフも「半沢が帰ってきた」と一気に沸いた。

 「自分で呼び起こした感じでもなかった。現場のみんなと、少しずつ息を吹き返していった感じですね。半沢は、とにかく真っすぐな男。演技も真っすぐに、思いや言葉を真っすぐ伝えることだけを考えていて。そこだけを意識してやってます」

 決めゼリフ「倍返し」が新語・流行語大賞を受賞するなど、大きなムーブメントとなった。「“倍返し”は相手ありきのこと。もらわないと返せない。そういう意味では演技の応酬なんです」。意識にあるのは「自分一人ではできない」ということだ。

 ちなみに今作のポイントの一つは「恩返し」だという。「ある人のセリフに出てくるんですけど。注目ですよ。また(脚本家が)流行語狙ってるのかな」と笑う。

 「コロナ禍で鬱屈(うっくつ)した気持ちを吹き飛ばしてほしい」。そんな声も寄せられている。「何しろ密接なお芝居をしているので、どう受け止められるか分からない。でもソーシャルディスタンスを取っちゃうと半沢直樹ではなくなる。なるべく濃いぶつかり合いをしたいです」。視聴者の期待に恩返しするべく、汗をかいている。

 《総集編視聴率14.8%》12日に放送された前作総集編「半沢直樹・特別総集編後編~今回限りSP版」が、平均世帯視聴率14.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の好結果を残した。半沢が香川照之(54)演じる最大の敵・大和田常務と直接対決。大和田の土下座でクライマックスを迎え半沢に出向が言い渡された午後10時45分に瞬間最高視聴率17.7%を記録。13年の放送以来地上波で一度も再放送されていないため注目を集めていた。

 ▽「半沢直樹」 原作は作家池井戸潤氏の小説。銀行員の半沢が行内で数々の不正を暴き、敵をぶっ倒していく痛快な逆転劇。今作は池井戸氏の「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」の2作品が原作。半沢は東京中央銀行でさまざまな不正を暴いて自身の身を守ったものの、子会社の東京セントラル証券に出向となる。業績に苦しむ同社に転がり込んだ大型の融資案件を巡り、出向元の銀行と新たな戦いを繰り広げる。

 ◆堺 雅人(さかい・まさと)1973年(昭48)10月14日生まれ、宮崎県出身の46歳。92年に早大演劇研を母体とした劇団「東京オレンジ」で、俳優活動を開始。08年の映画「クライマーズ・ハイ」や「アフタースクール」の演技が高く評価され、主要映画賞の助演男優賞を総なめに。主演ドラマに、フジテレビ「リーガル・ハイ」、NHK大河ドラマ「真田丸」など。1メートル72、血液型O。

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