相方・矢部浩之でなければできなかった岡村隆史への公開説教、耳の痛い話にも触れ本気の姿勢見せる

[ 2020年5月2日 17:10 ]

「ナインティナイン」の矢部浩之と岡村隆史
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 ナインティナイン矢部浩之(48)がラジオで行った公開説教は、相方でなければできないことだった。ナイナイの岡村隆史(49)が、メインパーソナリティーを務めるニッポン放送「オールナイトニッポン(ANN)」で「コロナが終息したら美人さんがお嬢(風俗嬢)やる」と発言したことで女性蔑視との批判を集めた大炎上騒動。岡村は1日未明の生放送で「至らなさを本当に反省してます。人々に寄り添う思いが、全然自分の頭になかった」と猛省した上で謝罪。その番組中に突然、姿を現したのが矢部だった。

 関係者によると、騒動が勃発した後、1日の放送が岡村だけでは難しくなると判断した番組スタッフが矢部に相談したところ、二つ返事で「ほな行くわ」と決断。岡村にはまったく知らせずに出演したという。

 矢部は、岡村がなぜ、あのような発言に至ったのか、周囲への感謝の気持ちも忘れて尊大になってはいなかったかなど、最近のナインティナインの関係性がうまくいっていないことも含め1時間半にわたり、岡村にダメ出しし続けた。コンビ結成30年。その関係性があるからこそ出来たことだった。

 岡村が2010年にうつ病を患い、休養して復帰までの半年間、ナイナイの看板を支え続けたのは矢部である。ラジオでは、その時もテレビカメラが回っていないところでは矢部に対して岡村が感謝の気持ちを伝えていなかったことも明かされた。岡村にとっては耳の痛い話だろう。そこにあえて触れた矢部は本気だった。一度すべての悪い部分をあぶり出して、その上でコンビとしてもう一度イチから出直す道を選んだ。

 岡村の今回の問題発言は決して許されるものではないが、猛省もしており、今後どのように生まれ変わるのか周囲は見守っている。ただ、変に意識しすぎて、ANNの面白さが半減してしまうとリスナーもいたたまれない。ここは14年に降板した矢部に戻ってもらってナイナイのANNになってほしいところ。2人の関係性もあり、難しいのかもしれないがボケとツッコミがそろってコンビである。

 昨年の特殊詐欺グループとの間で行った闇営業問題でも相方の存在はクローズアップされた。謹慎処分中に精神的に不安定になり体調を崩したロンドンブーツ1号2号の田村亮(48)には田村淳(46)がいた。亮が無事に復帰できるよう淳は所属の吉本興業や関係各所と水面下で話し合いを進めた。そこは「ロンブー」を守ろうとするコンビ愛からだ。2人で行った復帰会見も世間に温かく迎えられ、亮は4月にレギュラー番組だった「ロンドンハーツ」に出演、9カ月ぶりの地上波復帰も果たしている。

 芸歴50年を超える中田カウスボタンの中田ボタンも(72)も過去の取材で相方の大切さに触れ「相棒さえおったら何でもできる。心の底から信用してる。ここまで出来たこと、漫才のことを大好きになったのも相棒のおかげや」と語っていた。漫才は、舞台の上で大人の男同士がその仲の良さを見せることも本質の一つ。夫婦でもないのに、ずっと一緒に過ごす不思議な世界だが、相方のことを思いやる愛情が互いになければ成立しない。

 ANNのエンディングで2人が「ワーワー言うとります。お時間です、さようなら」と言った後、最後の最後に岡村が矢部に「ありがとう」と告げた。素直な、その気持ちをいつまでも忘れてほしくない。(記者コラム)

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