藤井七段 羽生以来2人目の朝日杯連覇、年度最高勝率も可能性

[ 2019年2月17日 05:30 ]

朝日杯将棋オープン戦 連覇を達成し師匠の杉本七段(左)から祝福され笑顔の藤井七段(撮影・島崎忠彦)
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 将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(16)は16日、東京・有楽町朝日ホールで指された第12回朝日杯オープン戦で、渡辺明棋王(34)を破り、羽生善治九段(48)に次いで同棋戦史上2人目の2連覇を果たした。藤井の棋戦優勝は昨年10月の新人王戦以来3度目。公式戦での連覇は最年少となった。さらにこの日の2勝で年度最高勝率更新の可能性も膨らんできた。

 史上最年少の棋戦優勝から1年後、藤井がまた成長した姿を見せた。対局を見守った多くのファンの前で「去年に続き、優勝という結果を残せてうれしい」とあいさつ。安堵(あんど)感とともに貫禄も漂わせた。

 渡辺とは非公式戦を含め、現役トップ棋士では唯一の未対戦。2つの永世資格を持ちタイトル通算20期の現役最強棋士は、藤井にとって“ラスボス”といえる存在だ。藤井も「今最も充実されている方。挑戦者のつもりで戦いたい」と全力でぶつかった。

 渡辺はこれまで公式戦でほとんど指していない戦型「雁木」を選択。藤井は「準決勝で指されたので、もしかしたらとは思っていた」と、堂々と同じ戦型で応じた。

 中盤に渡辺が見せた一瞬の隙を突き、解説陣も予想外の手を連発。劣勢で表情をゆがめる渡辺に対し、冷静さを最後まで失わなかった。

 今棋戦では振り駒で負け続け、全4局が後手番。作戦面で相手に主導権を握られる展開が多かった。師匠の杉本昌隆七段(50)は「よく辛抱した。じれたり見切り発車せずついていき、終盤で一気に決めた」と進化に目を細めた。

 この日は準決勝で行方尚史八段(45)を破り2勝を挙げた。今年度の勝利数は広瀬章人竜王(32)と並ぶ最多の40勝(7敗)。勝率を0・8511とし、中原誠16世名人(71)が1967年度に記録した0・8545に肉薄。あと2勝で上回るが、現時点で少なくとも4局が組まれており、1つでも落とすと厳しくなる。

 「中盤の形勢判断や時間配分では、成長できた部分もある。もっと力をつけてタイトルに近づきたい」。偉大な先輩が残した記録、目標のタイトルに大きな手応えをつかんだ。

 ◇朝日杯オープン戦 全プロ棋士、アマ10人、女流棋士3人によるトーナメント戦。07年度にスタートした。持ち時間40分プラス1分以内の早指し戦で、1回戦から決勝まで全て1回勝負で争われる。最多優勝者は羽生九段の5勝。13〜15年度は3連覇した。

 ◆藤井 聡太(ふじい・そうた)2002年(平14)7月19日生まれ、愛知県瀬戸市出身の16歳。杉本昌隆七段門下。5歳で祖父母から将棋を教わる。小4で奨励会入りし、16年9月までの三段リーグを1期で通過。同年10月1日に14歳2カ月で史上5人目の中学生プロ棋士となり、加藤一二三・九段が持っていた14歳7カ月の最年少記録を62年ぶりに塗り替えた。17年6月には公式戦連勝記録歴代単独1位の29連勝を達成。得意戦法は角換わり。名古屋大学教育学部付属高1年。

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