藤井七段、最速&最年少100勝もおごらず 大切なのは「最終的にどれだけ強くなって実績を残せるか」

[ 2018年12月12日 18:41 ]

通算100勝を達成し、笑顔の藤井聡太七段(撮影・吉田 剛)
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 将棋の藤井聡太七段(16)は12日、東京都渋谷区の将棋会館で指された銀河戦(囲碁・将棋チャンネル主催)本戦トーナメントEブロック5、6回戦を連勝し、通算100勝(18敗)に達した。

 達成日年齢の16歳4カ月23日は、永世称号獲得者及び中学生棋士の範囲内で羽生善治・現竜王(48)の17歳6カ月20日を更新し最速記録。100勝時点での勝率・847も堂々の1位となった。

 以下、藤井七段との一問一答

 ――まずは一言。

 「この度、公式戦で通算100勝を達成することができ、これまでの一局一局の積み重ねで、こうした100勝というひとつの区切りに達したことを、感慨深く思っています」

 ――本日は100勝目を十分に意識して指された?

 「そのことは知ってはいたのですけれども、あまり意識しすぎてもよくないので、普段通り指せればと思っていました」

 ――今後の直近の目標、目指しているものは?

 「今までの将棋を振り返りますと、トップ棋士の方と自分との差といいますか、そういったところを感じる将棋もありましたので、そういった自分の弱点というのを一つずつつぶしていければと思っています」

 ――100勝のうち、あえて印象に残った1勝は?

 「一つに絞るのはなかなか難しいですけど、今年の将棋から一つ挙げますと、船江(恒平)六段との竜王戦の将棋(5月18日)が印象に残っています。結果的に七段に昇段することができたんですが、序盤からあまり経験のない形だったんですが、その中で自分なりにしっかり考えて指すことが出来たかなと。はい、印象に残っています」

 ――最年少での100勝ですが?

 「偉大な先生方がたくさんおられるので喜ばしく思ってますが、ただ最終的にどれだけ強くなって実績を残すことができるかというのが一番重要ではないかと思っているので、これからも緩むことなくやっていければと思います」

 ――中原誠さんの100勝21敗を上回った。藤井さんにとって中原さんにはどんなイメージがある?

 「中原先生はタイトル獲得64期という実績を残されていて、その前に大山(康晴)先生が一時代を築かれたと思うのですが…中原先生は大山先生との将棋とも違って駒が軽快に動かれることが多いという印象で、現代将棋のひとつの礎を築かれた先生ではないかと思っています」

 ――その中原先生の100勝達成時の勝率も超えての最高勝率だが。

 「中原先生の記録は知っていたのですが、ここまで高い勝率で達成することができるとは自分自身思ってなかったので、驚いているところです。まだまだ大きな結果といいますか、まだ指せていないので、それに向けてはさらなる努力が必要と思っています」

 ――羽生善治竜王の記録も塗り替えた。あらためて羽生竜王の存在については?

 「羽生竜王は自分が将棋を始めるずっと前から将棋界の第一線で戦われてきた方で、自分が将棋を始めた頃はあこがれの対象でもありましたし、今プロになってからも羽生竜王の将棋に対する姿勢には畏敬の念を抱いています。今回、羽生先生の記録をひとつ超えることが出来て、そのことはうれしく思うのですが、羽生先生の将棋に対する姿勢というのを自分も見習っていければなと思います」

 ――その羽生竜王はタイトル100期に挑んでいる。その姿はどう感じている?

 「タイトル100期というのは本当に想像のつかないくらい偉大なことで、自分が初勝利を挙げた加藤(一二三・九段)先生との将棋はほぼ2年前だったんですが、そこからきょうの100勝までに自分のなかでもいろいろなことがあったなと思っていて、それに対して羽生先生はタイトル100期にリーチということで、あらためてとんでもないことだなと感じている次第です」

 ――最年少タイトル獲得についての自分の位置づけは?

 「プロ棋士としてタイトルというのは目指していかなければいけないものだと思っていますし、タイトルは自分にとってはまだまだ近いものではない。これから険しい道のりがあるのでは。しっかり実力をつけてそこに近づけるように一日一日頑張っていきたいと思います」

 ――今年を振り返ると。

 「朝日杯と新人王戦で優勝という結果を残すことができて、自分にとってとても自信になりましたし、大きな出来事と思います。一方で王座戦、竜王戦などでは残念ながら敗れてしまったんですが、そうした将棋を通して自分の現状の課題というのも意識することができました。そういった経験をいかして来年につなげられたらなと思っています」

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2018年12月12日のニュース