河瀬直美氏 東京五輪公式映画監督に「記録だけでなく物語伴った感動させる作品に」

[ 2018年10月24日 05:30 ]

会見を行った(左から)大会組織委の森喜朗会長、河瀬直美氏、組織委の武藤敏郎事務総長
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 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は23日、大会公式映画の監督を、カンヌ国際映画祭などで受賞歴がある河瀬直美氏(49)が務めると発表した。五輪公式映画では5人目の女性監督。河瀬氏は23日に都内で会見し「五輪の開催により日本がどのような変化を遂げるのか、単に記録というだけでない、物語を伴った世界を感動させる作品にしたい」と意気込んだ。

 東京大会を後世に残す重要な役割を託された河瀬氏は「大変驚いています。自分に与えられた役割を全うしていきたい」と表情を引き締めた。

 高校時代にバスケットボールの奈良県選抜として国体に出場した経験を持つ元アスリート。「勝ち負けだけではなく、体で競技にぶつかっていくスポーツの素晴らしさを私自身も体験している。映画監督になったのはこのためだったんじゃないかと、縁を感じています」と笑顔を見せた。

 1964年東京五輪では、市川崑さんが「東京オリンピック」を製作。高い芸術性ゆえに記録か、芸術かという論争が起きていた。河瀬氏は内容に関して「記録だけではなく、物語を伴った作品にしたい。ストーリーがあるからこそ、世界中の人が心を動かすものになる」と話した。タイトルは64年の東京大会では公募されたが「今はまだ何も。いつも通り、急に降ってくると思うので、その時はお知らせします」とした。

 起用にあたって評価されたのは国際的な知名度の高さ。1997年に「萌の朱雀(もえのすざく)」でカンヌ国際映画祭のカメラ・ドール(新人監督賞)を史上最年少27歳で受賞。07年には「殯の森(もがりのもり)」で同映画祭で最高賞に次ぐグランプリを受賞している。

 東京五輪組織委員会の森喜朗会長(81)は「河瀬さんはカンヌでの授賞式で“映画は国境も人種も超えていくもの”と話された。まさに五輪精神に通ずる。どのような作品を撮られるのか楽しみです」と期待を語った。

 公式映画は、大会時や準備段階の様子がドキュメンタリーとして描かれる。1912年のストックホルム大会で初めて作られ、48年ロンドン大会以降は全ての大会で製作されている。2020年東京大会の公式映画は21年春に完成し、国内外で公開される予定だ。

 ◆河瀬 直美(かわせ・なおみ)1969年(昭44)5月30日生まれ、奈良市出身の49歳。生後まもなく生き別れた父親を捜すドキュメンタリー「につつまれて」などで注目される。劇映画でも撮影開始前から俳優をロケ地に住まわせ、地元の人々を登場させるなど、フィクションとドキュメンタリーの境界を描くような、リアリティーを追求した作品が多い。他の作品に「あん」「光」など。

 《64年 市川崑監督作は論争に》1964年東京五輪では、映画監督の市川崑さんが総監督を務めた「東京オリンピック」が製作され、翌65年に公開された。上映時間は170分。タイトルは公募され、4万7000件以上の中から市川さんが選んだ。

 冒頭に会場建設のためにビルが解体されるシーンが収録されるなど、出場選手だけでなく細部にカメラが向けられた。選手の心情を描写するために脚本も用意されており、試写を見た当時の五輪担当相らから「記録性を無視している」などと批判の声も上がり「芸術か記録か」という論争を巻き起こした。

 公開された作品には日本人金メダリストやオリンピック建造物の映像が追加。空前の観客動員を記録し、配給収入12億円超のヒット作となった。

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