大沢たかおが持つ視聴者目線の“芸人魂” 普段は暑さも寒さも嫌いな男

[ 2017年11月30日 10:20 ]

BS―TBSのドキュメンタリー「大沢たかお インカ帝国 隠された真実に迫る」について語る大沢たかお
Photo By スポニチ

 俳優の大沢たかお(49)が、痛い思いをしてでも人を楽しませたいという“芸人魂”のようなものを持っていることに驚いた。

 BS―TBSのドキュメンタリー「大沢たかお インカ帝国 隠された真実に迫る」の取材会でのこと。大沢は9月と11月、インカ帝国の幻の遺跡を探すために、ペルーへ取材に行った。インカ帝国は1533年にスペイン人に滅ぼされた。今回は、最後の都市だったとされる「エスピリトゥパンパ」の手がかりを探すもの。「体当たりで体験していないと、見てる人がドキドキしない」と、特別待遇などされないまま発掘調査に加わった。

 遺跡発掘現場まで、移動で2日半かかる過酷なロケ。海抜0メートルから4000メートルを行ったり来たり、気温差も20度から2度までと気温差。発掘調査中は、チームの一員になろうと土を運ぶなどしてもくもくと働いた。「僕がレストランで美味しいものを食べていても、視聴者の方は面白くないですよ。死にそうな思いでやってるほうが、みなさんに楽しんで頂ける」。そう言って笑った。

 道中ではプロデューサーやアシスタントが高山病で下山する中、大沢は1人で残って仕事をやりきった。「知ってます?高地で寝ていると、酸欠で息が苦しくて1時間に1回起きるんですよ。その時に、プロデューサーは下山してベッドで寝てたみたいですけど」と取材陣を笑わせた。

 遺跡に向かう道中には、真っ暗な中できれいな星空を見ることもあった。とはいえ、その時に泊まっていたのは「人が泊まるようなところじゃない」という避難場所のような寝床だった。「食事もない、部屋に窓もない、網戸だけで寒いし。キレイなものを見るには代償もある。僕の夕飯がカップラーメンですよ?」。わざわざオチをつけてユーモアたっぷりに振り返った。

 「見てる人が面白いかどうか」。大沢はこの点を頭に入れてロケに臨んでいた。「みんなが行けないところに誰かが行って、等身大の目線で見られることは素敵。メッセンジャー、代弁者になることにやりがいを感じた。1週間で体重が6キロ落ちましたけど、それも含めてドキドキやワクワクしてもらえると想像すると頑張れた」。帰国2日後の表情は充実感にあふれていた。

 普段の大沢は「ドラマも映画も春と秋だけやりたい」という暑さも寒さも嫌いな男。それが、視聴者目線を思うと何でもやれてしまう。意外なエンターテイナーの姿だった。(記者コラム)

続きを表示

2017年11月30日のニュース