栗原英雄 三谷幸喜氏新作舞台「不信」出演に感動 究極の“淡々”目指す

[ 2017年3月3日 09:00 ]

栗原英雄インタビュー(上)

三谷幸喜氏作・演出の新作舞台「不信〜彼女が嘘をつく理由」に出演する栗原英雄
Photo By 提供写真

 一大ブームを巻き起こした昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」で主人公・真田幸村(堺雅人)の叔父・真田信尹(のぶただ)を好演した俳優の栗原英雄(51)が、「真田丸」の脚本を担当した三谷幸喜氏(55)作・演出による注目の新作舞台「不信〜彼女が嘘をつく理由」(4日〜4月30日、東京芸術劇場シアターイースト)に出演する。稽古場を訪ねると「真田丸」に続く起用に「感動しています」と意気込み。「キャラクターを自分の中に落とし込む」という役へのアプローチを明かし「僕のキャリアの中で一番のピークは今」と日々、輝きを増している。

 三谷氏が書き下ろしたのは「嘘」を題材に、2組の夫婦を描くサスペンス。ある夫婦が別の夫婦の隣に引っ越してきたところから、物語は始まる。約300席の“密接”な空間において、出演者は段田安則(60)優香(36)栗原、戸田恵子(59)の4人だけ。綿密に計算された全く先の読めない悲喜劇が展開される。

 栗原は役柄について「感情の振り幅はあるんですが、あまり喜怒哀楽は表面に出さない」と説明。三谷氏からは「キャラクターとしては、淡々と演じてほしい」と言われたといい「それを忠実にやっていこうと思います。例えば、おかしい話でも、おかしくは演じないように。その人がまじめに生きていれば生きているほど、滑稽に見えたりするじゃないですか。そこは絶対外さないように、自分から(笑いを)狙わないように。“淡々と”に象徴されていると思います」と演技プランを明かした。

 演技は「削ぎ落とす」が持論の1つ。「今回の役は、削ぎ落として淡々と演じる。その究極かもしれません」。そのためには、何が必要か。「どの作品もそうなんですが、まずはキャラクターの心根みたいなものを自分の中に落とし込んでいく」。今回の取材は本番2週間前。その作業の途中にあり「通し稽古をしていても、声の高さが3ピッチぐらい上がっちゃったり。落とし込むというのが、今の課題ですね。キャラクターというものを自分の中に落とし込んで、落とし込んで、落とし込んでいくと、やっと手放せるというんですか」。凡人には想像もつかない、芝居の深淵さの一端が垣間見えた。

 2015年に出演したミュージカル「タイタニック」を三谷氏が観劇し「真田丸」へのオファー。そして、今回の「不信」と立て続けに起用。「舞台復帰が三谷作品で、感動しています。三谷さんが新たなものに挑戦したいという現場に呼んでくださった。それに応えなきゃいけないと思っています」と張り切っている。

 09年に劇団四季を退団。テレビドラマ初出演となった「真田丸」は転機になったものの「いつも思うのは、僕は今が一番なんです。きょう起きて、稽古場に来て、僕のキャリアの一番は今なんですよね。今、この『不信』の稽古場にいて、役者として、まだまだ成長できる。毎日ドキドキしながら、毎日ああでもない、こうでもないと言いながら、やれているというのが幸せ。作品が出来上がっていく途中の産みの苦しみはありますが、発見もいっぱいあって、役者っていうのは稽古中が一番幸せかもしれません。僕のキャリアの中で一番のピークは今ですよ」。51歳にして、日々“自己ベスト”を塗り替える。

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