大滝秀治 文化功労者に「功労覚えないが、舞い上がった」

[ 2011年10月26日 06:00 ]

 政府は25日、2011年度の文化勲章を小説家の丸谷才一(86)、半導体電子工学の赤崎勇(82)、陶芸家の大樋年朗(83)、日本政治外交史の三谷太一郎(75)、分子遺伝学・分子生理学の柳田充弘(70)の5氏に贈ることを決めた。

 文化功労者には、俳優の大滝秀治(86)、小説家の加賀乙彦氏(82)、日本政治外交史・国際交流の五百旗頭真氏(67)ら15人を選出した。

 大滝は「文化に功労した覚えはないが、功労という言葉に弱くてね。舞い上がりました」と、独特の甲高い声で喜びを表現した。50年、故滝沢修さん、故宇野重吉さんらが旗揚げした劇団民芸の創設に参加して約60年。「これまで充実感はあったが、楽しかったことは一度もない」

 現在は奈良岡朋子(81)とともに代表を務めるが、下積みが長かった。宇野さんからは「ハーモニカが壊れたような声は不快」、滝沢さんには「辞めようと決心することも俳優の才能だ」と厳しい言葉ももらった。

 それでも俳優を続けるうち、「審判」「巨匠」などの舞台や、テレビドラマなど幅広く出演し、人情味あふれる演技で親しまれるように。

 今年6月、舞台「帰還」の稽古で一時的に言語障害になったが回復。「これからは、これ(文化功労者)を基準に芝居を見られるから気が重い」と苦笑しつつ「今どれだけできるか。あと一本、なんとしてもきっちりやりたい」と力を込めた。

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