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父・真吾トレーナーが語る拓真 “怪物の弟”にも負けず淡々と 幼少期から手を抜かない子

[ 2018年12月31日 08:00 ]

WBC世界バンタム級暫定王座決定戦12回戦   ○同級5位・井上拓真 判定 同級2位タサーナ・サラパット● ( 2018年12月30日    大田区総合体育館 )

(左から)兄・尚弥、井上拓真、母・美穂さん、姉・晴香さん、父・真吾トレーナー(撮影・島崎忠彦)
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 「一言で言うと、ナオ(尚弥)は“強引”でタク(拓真)は“慎重”かな…」。父として、トレーナーとして2人を世界王者に育てた真吾さんは、兄弟の性格の違いをそう表現した。

 「ナオは無鉄砲なところがあって…。自分は20歳で独立して仕事を始めたんだけど、ナオは自分に似てキツいことにも率先して向かって、どんどん進んでいく。タク(拓真)はついてきたというか、進もうとした時には道があったって感じなんだろうね」

 拓真の一歩先には常に2歳上の兄がいた。幼少期の2歳差は体格差も大きく、よくケンカをしては泣かされていたという。プロ入り後は“怪物の弟”という形容もつきまとった。真吾トレーナーは「嫌だったと思うよ。負けず嫌いだし。でも、淡々と自分のやるべきことを継続してやっていた。小さい時から手を抜くことをしない子だった」と振り返る。

 親として分け隔てなく接してきたが、才能も含めて全て兄と同じものを与えられたわけではない。日本代表として国際大会や強化合宿の経験もある尚弥に比べ、拓真にはそれがなかった。それでも同じプロ5戦目で東洋太平洋王座を獲得。ケガで遠回りを強いられたものの、ようやく兄と同じ“世界王者”の称号も手に入れた。「泣きそうになった」。試合内容を厳しく評価しながらも、本音を口にした父は「今、言えるのは2年間はいい経験だったと言うこと」と振り返った。井上家の夢が一つ実現した。そして、その夢には続きがある。

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2018年12月31日のニュース