水原容疑者 「銀行詐欺容疑」最高刑禁錮30年の重罪 大谷に24億円超戻らない「返す金ない」

[ 2024年4月13日 01:30 ]

記者会見の会場に入る米連邦地検のエストラダ検事(AP)
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 米連邦地検が訴追し、新たな事実が明らかになった水原容疑者の違法賭博問題。カリフォルニア州弁護士資格を持つ国際弁護士の村尾卓哉氏が、今後の水原容疑者の公判、大谷の口座から送金された24億円を超える巨額の被害額について解説した。

 水原容疑者が問われた「銀行詐欺容疑」は最高刑が禁錮30年となる重罪だ。逮捕はされていないが、重罪の場合、判事は逃亡の恐れがないと認めても多額の保釈保証金を求めるとみられ、納付できなければ身柄を拘束される可能性もある。

 一方で、現地メディアでは水原容疑者が罪を認め、司法取引する可能性も報じられている。12日にロサンゼルスの連邦地裁に出廷する予定で、罪状認否の機会が設定される見込み。有罪を認めた場合は量刑に関する司法取引が成立する可能性が高くなるという。村尾氏によると、司法取引は「陪審で裁判を受ける権利を放棄するから、刑期を軽くしてということで合意するもの」と説明。検察にとっても時間と労力が節約でき、米国では刑事事件の約9割が司法取引で処理されるといわれている。

 司法取引を行えば、最高刑の禁錮30年ということはないが「金額の大きさが刑期に影響はするだろう。24億円という金額からいって、禁錮2、3年ということもないだろう」(村尾氏)。禁錮6~10年という見立てもある。司法取引が進み裁判にならないのなら、大谷が法廷に立つということもないという。否認した場合は、市民で構成する大陪審が検察から事件の内容の説明を受け、起訴の是非を判断。起訴されれば陪審か判事による審理を選択し、公判で刑事責任の有無を争う流れとなっている。

 また、気になるのは24億5000万円以上という巨額の金が戻ってくることはあるのかという点。村尾氏は「水原氏に求めても、返す金がないから無理でしょう」と分析する。本人以外が巨額の金を動かすことができた銀行側のセキュリティー問題も今回取り沙汰されているが「銀行がIDやパスワードを漏らしたのではなく水原氏が何らかの手段で入手したという点、大谷さんが定期的に口座をチェックするなどしていなかったことで本人にも甘かった部分がある」と指摘。その上で「銀行に不備があったとして返金を求めるのは難しいでしょう」とした。

 ≪違法賭博問題経過≫
 (日付は日本時間)
 ☆23年10月 捜査当局が違法スポーツ賭博の胴元であるボウヤー氏の自宅を家宅捜索。

 ☆24年1月 捜査当局が大谷名義での胴元側への送金を把握。

 ☆3月20日 水原容疑者がスポーツ専門局ESPNの取材に、胴元への借金を大谷が肩代わりし送金したと説明。

 ☆21日 大谷サイドの弁護士が「翔平が大規模な窃盗の被害に遭った」と声明を発表。水原容疑者がESPNへの説明を撤回し、大谷の関与を否定。ドジャースが水原容疑者を解雇する。

 ☆23日 大リーグ機構も調査を開始。

 ☆26日 大谷が報道陣に対応し、送金や賭博への関与を否定。

 ☆4月12日 連邦地検が銀行詐欺容疑で水原容疑者を訴追。

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