ヤクルト20年ぶり日本一 延長12回5時間死闘の末に 高津監督、野村イズム昇華

[ 2021年11月28日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2021第6戦   ヤクルト2ー1オリックス ( 2021年11月27日    ほっと神戸 )

<オ・ヤ>胴上げされる高津監督(撮影・岡田 丈靖)
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 日本シリーズ第6戦は27日、ヤクルトが2―1でオリックスを破り、4勝2敗として01年以来20年ぶり6度目の日本一に輝いた。レギュラーシーズン、CSが9回打ち切りだった今季、初めての延長戦となった12回、代打・川端慎吾内野手(34)の左前打で勝ち越した。史上初の前年最下位球団対決を制し、セ・リーグでは12年の巨人以来9年ぶりの日本シリーズ制覇。就任2年目の高津臣吾監督(53)が神戸で舞った。 

 一番最後にベンチから歓喜の輪に向かった。時計は午後11時を回っている。吐く息が白い。気温7度。延長12回、5時間ジャストの死闘の末の日本一。神戸の夜空に高津監督が10度、舞った。

 「寒かったです(笑い)。でも、みんなが熱くグラウンドに立ってくれた結果だと思います。ファンの皆さん、選手諸君、球団スタッフの皆さんに心から感謝、感謝、感謝です」

 現役時代に守護神で4度出場したシリーズはいずれも胴上げ投手。通算11試合で2勝0敗8セーブ、防御率0.00を誇る。「全てのシリーズ、全ての試合を克明に覚えている」と言う。指揮官として初めて臨む頂上決戦。経験と知識を掘り起こした。

 初めての日本シリーズ出場は93年。2年連続で西武と激突した。3勝3敗で迎えた11月1日の第7戦。前年3勝4敗で敗れた雪辱のため、立川市内の宿舎でのミーティングは数時間にわたった。徹底的に対策を練った最後、当時の野村監督の言葉が耳に残っている。「結局、勝負は時の運や。人事を尽くして天命を待とう」。肩の力がふっと抜け「気分が楽になった」という。

 恩師と同じ立場で迎えた決戦前、人事を尽くした。CSファイナルS突破翌日の13日から2日間の休日。自宅の部屋にこもった。机にiPad2台とパソコン1台をセット。オリックスのレギュラーシーズン143試合とCSファイナルS3試合、計146試合を見た。「やらないで負けるのは絶対に嫌だから。(開幕戦の西武)高橋光成から(日本シリーズ進出を決めたCSのロッテ)益田まで」。寝る間も惜しみ、ペンを走らせた。

 野村監督から継承した「ID野球」に「高津マジック」を加えた。第1戦の試合前のブルペン。スタッフも含めた全員で肩を組み「このチームの特長はつながり。全員がひとつの輪になり全力で4つ勝てるように努力していこう」と鼓舞した。シーズン中の9月7日。阪神戦前のミーティングでの「絶対大丈夫」はファンも含めた合言葉となった。今シリーズでも手塩にかけて育ててきた奥川や高橋ら投手陣が粘り、打線も村上、山田を中心に勝負どころでつながった。01年以来20年ぶりの日本一をもぎ取った。

 重責は計り知れない。睡眠導入剤に頼った夜もあった。眠くなるまでスマホでYouTubeを見て気を紛らわせた。2年連続最下位だった昨オフは趣味のゴルフにもほとんど行かず、データを洗いざらい見直した。

 昨年1月。野村監督と最後に会った時に掛けられた言葉がある。「今、飛び抜けたチームはいない。ちょっと頭をひねれば優勝できる」。使命は恩師が率いていた頃のような、黄金時代の復活。「熱い戦いをこれからも見せていけるように努力していきます。我々は絶対崩れません!絶対大丈夫です!」。第1章となる日本一だった。(青森 正宣)

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