侍ジャパン新監督 栗山氏が最有力候補!大谷と“師弟コンビ”で23年WBC世界一奪回目指す

[ 2021年11月14日 05:31 ]

日本ハム時代の栗山監督(右)と大谷
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 侍ジャパンの新監督に、日本ハム監督を退任した栗山英樹氏(60)が最有力候補に挙がっていることが13日、分かった。今夏の東京五輪で金メダルに導いた稲葉篤紀監督(49=現日本ハムGM)が退任。後任の人選を進めていた。栗山氏は日本ハムでは16年に二刀流・大谷翔平投手(27=現エンゼルス)を中心に日本一など実績は十分。正式決定すれば、その大谷との「師弟コンビ」で23年のWBCで世界一奪回を目指す。

 東京五輪での歓喜の金メダルから3カ月余り。17年から侍ジャパンを率いてきた稲葉監督の後任の人選が、ようやく絞られた。東京五輪が1年延期となった影響で、23年に予定されているWBCまでは1年半と残された時間は決して多くはない。侍ジャパン強化委員会の委員長を務める日本野球機構の井原敦事務局長は「選考は難しく慎重にじっくり時間をかけたいが、年を越すのは良くない」と説明していた。五輪後、複数の監督候補を挙げて人選を進める中で、最有力に挙がったのが栗山氏だった。

 栗山氏は、90年オフに現役引退した後はキャスターとして野球の取材現場で活躍。コーチ経験のないまま12年に日本ハムの監督に就任した。1年目にリーグ優勝すると、12年ドラフトで1位指名した大谷を投打二刀流で育てあげ、16年には大谷をフル回転させて日本一に輝いた。先入観にとらわれない野球を推し進め、今季までの10年間で球団最多の684勝。その指導力は高く評価されている。

 何より、17年オフに大リーグへ送り出した大谷は今季、二刀流で大活躍。日本時間19日発表のア・リーグのシーズンMVPの最有力候補に挙げられている。その大谷は、23年のWBCで日米両球界を通じて、最大の目玉選手となるのは間違いない。短期決戦で二刀流をどう使い、最大限に力を引き出すか。育ての親である栗山氏なら二刀流の起用法のノウハウを熟知している。06年のWBCで王監督の侍ジャパンがイチロー中心に初の世界一に輝いたように、大谷をフル回転させて戦い抜くことも可能だ。

 東京五輪では稲葉監督が村上(ヤクルト)、栗林、森下(ともに広島)、伊藤(日本ハム)ら若手を積極的に登用。世代交代を進めながら、見事に金メダルに導いた。その若手と大谷の融合が大きなテーマとなるのが23年WBC。今季まで10年間、現場で指揮を執ってきた栗山氏には、そうした若手とグラウンドで戦ってきた強みもある。本番まで時間がない中、選手の能力を的確に判断してチーム編成も進められる。

 06、09年のWBCは取材者として現地で直接取材した栗山氏。正式に侍総大将を任されれば、今度はその09年以来14年ぶりの世界一を、監督として目指すことになる。

 ◇栗山 英樹(くりやま・ひでき)1961年(昭36)4月26日生まれ、東京都出身の60歳。創価高から東京学芸大を経て、83年ドラフト外で内野手としてヤクルト入団。2年目に外野手に転向し、89年にゴールデングラブ賞獲得。90年に現役引退。通算成績は494試合で打率・279、7本塁打、67打点、23盗塁。スポーツキャスター、大学講師などを務め、12年に日本ハム監督に就任。同年にリーグ優勝、16年に日本一を達成した。監督成績は1410試合で684勝672敗54分け、勝率・504。

 【栗山氏と大谷】

 ☆直接交渉で一転日本ハム入団 12年ドラフトでメジャー希望を表明していた花巻東の大谷を強行指名。入団交渉では二刀流での育成プランや「夢への道しるべ」と題した30ページに及ぶ資料を提示して説得した。

 ☆開幕投手への手紙 大谷が3年目の15年に初の開幕投手に指名。春季キャンプ中の2月20日午前11時11分に手紙を渡した。この日は長嶋茂雄氏の誕生日で「平成のミスタープロ野球」になってほしいとの思いを込めた。16年も2年連続で開幕投手に指名し、午後2時22分22秒と「2」にこだわって二刀流完成への願いを込めた。

 ☆プレーボール弾 16年7月3日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で45年ぶりとなる「1番・投手」で起用。大谷は初回の初球で先頭打者弾を放ち、8回無失点で8勝目を挙げた。

 ☆退任メッセージ動画 10月26日の西武戦(札幌ドーム)で最後の指揮を執り、試合後のセレモニーで大谷がビデオメッセージで登場。「(二刀流が)今、こうして周りの人に少しずつ受け入れてもらえているのも栗山監督がいてくれたからです」と感謝の言葉を送られた栗山監督は目に涙を浮かべた。

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