【阪神・岩田と一問一答】「それがないとこんなに長いことはできていない」1型糖尿病患者の「希望の星」に

[ 2021年10月1日 14:29 ]

<阪神岩田稔引退会見>涙を浮かべて会見を行う岩田稔
Photo By スポニチ

 阪神の岩田稔投手(37)が1日、兵庫県内のホテルで引退会見を行った。16年にわたるキャリアをやり切った思い、家族への感謝…。以下は涙があふれた会見での一問一答。

 ――まずは岩田選手からごあいさつを
 「16年間、本当にありがとうございました。長く、16という数字を見ると長いんですけど、僕の中ではあっという間に時間が過ぎた16年でした」

 ――引退決意した気持ち
 「肩の荷がおりた感じです。小学校1年から野球のチームに入って今まで32年間、駆け抜けてきました。楽しいこと苦しいことたくさん経験させてもらった野球に感謝です」

 ――決断した経緯は
 「そうですね。この今38歳の年なんですけど、4~5年ぐらい前からそろそろかなという思いもありながら、まだまだいけるぞ、負けへんぞという思いもありながら過ごしていました。今年の最初にコロナにかかってしまって、思ったよりも体が元気になっているんですけど、気持ちの方が昔ほど燃えてくるようなものがなくなってきて、自分の気持ちに負けたというか。そのタイミングで引退の方を決意しました」

 ――気持ちを奮い立たせようと葛藤した
 「そこからはめちゃくちゃ長かった感じがします」

 ――ユニホームを脱ぐと決められた瞬間は
 「この気持ちでタイガースのユニホームを着てプレーをするのは失礼だと。思ったので。ユニホームを脱ぐことに決めました」

 ――縦じまのユニホームは重いもの
 「そうですね。大阪で育って高校も大学もお世話になっている。関西の球団に入れたんで、素晴らしい縦じまのユニホームを着られて幸せです」

 ――やりきったか、悔いはあるか
 「やりきりましたね」

 ――引退を最初に伝えたのは
 「妻です。そして大切な家族に…。(号泣)。引退という言葉を伝えました」

 ――奥さん、お子さんの反応は
 「妻は僕が1型糖尿病ということもあって、すごい食事の面であったり、生活の面も一緒に管理してくれたので、本当によくやってくれたと言ってもらいました」

 ――お子さんは
 「うちの子供は結構、僕をいじってきたりとか、それぐらいする楽しい家族なので。もう辞めんの?みたいな軽い感じで話してくれたり、してくれました」

 ――家族へのメッセージを
 「本当に感謝の言葉しかないですね」

 ――矢野監督にはどういう報告
 「矢野さんの電話のつながる時間に連絡させてもらったんですけど、矢野監督からは一緒にプレーもしたし、本当にお疲れ様と言ってもらいました」

 ――思い出がよみがえると思うが
 「はい。16年もよくやってこれたなと思いました」

 ――WBC日本代表としても世界一に
 「あんな大舞台の日本代表に入れるなんて全然思っていなかった。そういう経験できて、世界一ということと、優勝できた喜びと。シャンパンファイト楽しかったです」

 ――16年間で60勝をマーク
 「全然、少ないなと思います。あれだけ先発させて頂いて、そんなに結果も残せなかった。やっていたのもちょっとだけしかなかった。そこはもっとできたのかなと思ったりします」

 ――病気の人たちにも勇気を与える60勝。印象に残る試合は
 「最初の初勝利からとても印象が残っているんですけど、僕の中では2009年の9月9日の甲子園での中日戦ですね。その日の登板前に長女が生まれまして、その生まれた長女が完封で勝たせてくれたのかなと。とても印象深い試合でした」

 ――お立ち台にも上がった
 「いやあもう、嬉しすぎて、その時は言う言葉が恥ずかしくてという思い出があります」

 ――高校時代から1型糖尿病と闘ってきた
 「高校生の時に糖尿という病気を、入院したり、色々大変だったりしたんですけど、病院の先生から病気でも何でも出来るよ、と言って頂いて。ジャイアンツのビル・ガリクソンという投手の本を読んで、自分もやっていけるわ、という思いにしてもらいました。そして大学に進学して、タイガースでお世話になる時、入団の時にも言ったんですけど、患者の希望の星になれるように、はい。頑張ることができたかなと思いますね」

 ――希望の星になりたいという思いが原動力
 「それがないと、こんなに長いことはできていないです」

 ――多くの活動がある中で、希望の星を体現してきた
 「僕がプロの野球の世界で16年も勝負できたので、1型糖尿病でも何でもチャレンジできると思います。頑張って欲しいです」

 ――今後の予定は
 「これからのことはちょっとまだ先分からないんで、ひとまずゆっくりしながら考えていきたいなと思います」

 ――16年ぶりのリーグ制覇に向けて頑張っている選手にメッセージを
 「僕が入って、一度も優勝経験がない今の現状ですけど、16年という月日の中で色んな選手が優勝に向かって、突き進んできてくれているので。今優勝争いをしているのがすごい僕自身も楽しませてもらったり、そこに少しですけど加われたりして。ぜひ優勝して欲しいです」

 ――病を抱える人の希望、タイガースファンの希望。ファンに向けて
 「16年間、熱い声援をありがとうございました。引退はしますが、また新しいことに僕もチャレンジしていくので、引き続き声援、応援のほどをよろしくお願いします」

 ――節目節目で涙があったが、今日の涙はどういう気持ちがありますか
 「(号泣)そうですね。自分自身ではよくやってきたと思います。こうやって長いことできたのも、本当に家族の存在があったからです」

 ――大阪桐蔭の西谷監督とスカウト、コーチだった山口高志さんに報告した時は
 「西谷先生に関しては『報道で見たよ、ようやったなあ。正直、病気もあったし、こんなに長くやってくれると思わんかった。大万歳や!』と言うてくれました。この世界にスカウトをして頂いた山口さんも同じように病気を持っていたのにスカウトしてタイガースにドラフト指名してくれて、僕自身は山口さんに対して感謝の気持ちが強いんですけど『お前のおかげで楽しませてもらったわ』と言ってもらったり。『長い間、お疲れさま』と言って頂きました」

 ――1型糖尿病、左肘手術もあった
 「入団する時に『希望の星になりたい』という言葉を発したので。その言葉に負けないように、諦めない気持ちを見せていきたかった。16年間でしたが、そういうのが少しは証明できたかなと思います」

 ――色んな影響を受けたと思うが、先輩や他球団の人との触れ合いや心に残る言葉は
 「たくさん連絡させて頂いたんですけど、みんな『ほんまに引退するんか』みたいな言葉をかけてもらったり、西武のおかわり、剛也(中村)には入って、16年間、電話とかしたことなかったんですよ。(号泣)。まあ言葉にあんまりちゃんと思いは乗せられなかったかもしれないですけど、『先に引退するわ』と言ったら『お疲れさん』と言ってもらって。まあ、あいつもすごい成績残してくれているし、どでかいホームランも打たれましたし、いい思い出です」

続きを表示

この記事のフォト

2021年10月1日のニュース