【内田雅也の追球】ポジティブな反省

[ 2026年5月10日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神1―3DeNA ( 2026年5月9日    甲子園 )

<神・D(7)>7回まで二塁すら踏ませぬ好投を見せた大竹
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 阪神・大竹耕太郎は昨年から登板後に良かった点を箇条書きにしてノートに書いているそうだ。<特に負けた試合では丁寧に良かった自分を見つけ出す>と、今春出した著書『覆す』(ベースボール・マガジン社)で明かしている。

 この日も良かった点はいくらもあった。何しろ7回まで二塁すら踏ませず、わずか68球で無失点に封じていた。
 8回表の3失点で逆転され、敗戦投手となったが、1―0完封で勝てというのは酷な話である。大竹は責められない。
 唯一無念に感じたのは8回表1死一、二塁で代打・宮崎敏郎に与えた、この日唯一の四球である。内角をカッター、スライダーで攻めたが外れた。1死満塁となり、1、2番に同点打、勝ち越し打を浴びたのだった。

 大竹だけでなく守備陣もよく守っていた。大竹にならい、負けた試合後こそ書いておきたい。4日に名古屋で死球、接触プレーがあった大山悠輔は休養措置で先発を外れた。代わって一塁に入った木浪聖也が1、3回表にハーフバウンド送球をスクーピングした。中野拓夢は右前に抜けようというゴロを、佐藤輝明も三塁線ゴロをたくみにさばいた。前川右京は5回表、左翼線安打を事前の好位置と好守備で単打でとどめた。7試合ぶり先発の坂本誠志郎は二盗を阻止した。

 結局、問題は打線ということになる。6回裏の1点は木浪の中犠飛であげた。ここ4試合の得点は3、2、1、1。その得点も本塁打か犠飛で、適時打が出ていない。もっともこの日は得点圏で打席に立ったのは5人だけという貧打だった。

 目立つのは三振だ。この日は12三振。3試合連続の2桁三振で計45三振はリーグワースト記録。むろん三振も凡打も同じアウトで、近年は三振を悪とする見方は薄らいでいる。ただ、阪神は伝統的にしぶとい打撃、粘りのある打撃が身上だった。いま一度、持ち味を思い起こしたい。

 打線は水物で好不調の波がある。この波動を見極めたい。今は我慢、辛抱の時なのだ。

 大竹が<ポジティブな反省>をするようになったのは通称「ビリギャル」を指導した教育者、坪田信貴の講演を聴いてからだったと著書にある。坪田語録に「人生は自分の決めた通りにしかならない」がある。「熱覇」と定めたシーズンの先を見すえたい。 =敬称略=
 (編集委員)

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