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圧倒的存在の田中将 壁を崩したクッション

[ 2021年8月10日 05:30 ]

準決勝の韓国戦を前に円陣で声を出す田中将
Photo By 共同

 【黄金STORY 侍JAPANの舞台裏(中)】7月19日の合宿初日から決勝まで20日間。侍は、どうまとまったのか。合宿序盤に「まだ探り合ってる感じ」と話した田中将は、金メダルを手に「結束したからこその結果。年下からもいじってもらえたり。垣根なく一つになり、みんながいい雰囲気をつくっていた」と振り返っている。

 コロナ禍。宿舎での行動も制限され、交流を図る機会は限られた。実力者が集まる中でも、メジャーから8年ぶりに復帰した田中将は特別な存在。「最初はやはりマー君のオーラというか、存在感が大きくて」。稲葉監督の言葉通り、ぎこちなさが漂っていた。

 開幕直後、侍は球場外で難局を迎えた。7月28日。酷暑のデーゲーム開幕戦後、福島から横浜への約5時間半のバス移動があった。バブル方式で新幹線は使えず、スーツ着用も義務づけられた。心身ともに負担のかかる場面。田中将のサプライズがあった。契約する高級寝具・西川の「エアーポータブルクッション」を、スタッフを含む約70人全員分、用意した。出発直前の「田中将大投手からです」の声に「スゲー」「うれしいな」とナインは感激。心遣いはスタッフを含む「戦友」の一体感を生んだ。

 幼なじみの坂本も一役買った。4日の韓国戦前、坂本は田中将を声出し役に指名。「勇人がうまく溶け込ませてくれて、将大も何とかチームのためにという思いで周りに声を掛けてくれた」と指揮官。田中将も意図を理解し大声を張り上げた。

 野手13人中9人がプレミア12組という下地も手伝った。常連の菊池涼は青柳をいじられ役に指名。3日、その青柳が熱唱した稲葉監督49歳の誕生会で、贈られたのが赤いパンツだった。7日、スライディングパンツの上に赤パンツをはいて決勝に臨んだ指揮官。決戦直前、ナインの前でおもむろにズボンを下ろした姿は笑いを誘い、緊張を和らげた。

 17年7月の就任会見。稲葉監督は「一番大事にするのはチームの和、結束力です」と語った。それぞれが心を寄せて生まれた、金色の結束だった。 (侍ジャパン取材班)

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