侍ジャパン、金メダルへサヨナラ発進!イチが重なる…日本の支柱・坂本、中堅へ殊勲打

[ 2021年7月29日 05:30 ]

東京五輪第6日 野球1次リーグA組   日本4ー3ドミニカ共和国 ( 2021年7月28日    福島県営あづま球場 )

<日本・ドミニカ共和国>9回、サヨナラ打を放った坂本(6)に駆け寄る日本ナイン(撮影・北條 貴史)
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 ミラクル発進だ。野球競技は28日、福島市の福島県営あづま球場で開幕し、侍ジャパンは1次リーグ初戦でドミニカ共和国に逆転サヨナラ勝ちを収めた。2点を追う9回に追いつき、なおも1死満塁から坂本勇人内野手(32=巨人)が中越えに決勝打を放った。苦しみながらも初戦を白星で飾り、女子ソフトボールに続く悲願の金メダルへ、好スタートを切った。

 脳裏に浮かんでいたのは圧倒的な存在感で世界を制したイチローの残像だった。日本中の期待を背にした坂本が、サヨナラ勝ちを決める一打を放った。

 「最後につないで、つないで、いい場面で回ってきた。何とか三塁走者を還したいという気持ちだけで、打席に立っていた」

 春先。ふと、iPadで野球動画を検索した。「普段は野球の動画はほとんど見ないんですけど、あの時は見たくなって」。目に留まったのは連覇した09年WBC決勝の韓国戦。そこには延長10回に決勝の中前打を放つイチローの姿があった。

 「ああいうところで打つ。絵になる方だと思いますし、本当に凄いなと」。動画を見てから約4カ月。坂本にも野球ファンの胸を打つ機会が巡ってきた。9回に2点差を追いつき、なおも1死満塁。代わったばかりのマリネスの初球、真ん中低めのツーシームを中越えまで飛ばした。

 中堅方向への打球はイチローと重なる。イチローは1点リードの9回に同点とされたダルビッシュやチームを救った。坂本も「投手が頑張ってくれていた。野手のみんなで何とか返してあげたいという気持ちがあった」。3打席凡退で迎えた1点を追う8回には無死一塁で犠打を決めた。「みんなでもぎ取った勝利。初戦勝って、正直ホッとしている」と穏やかな口調だった。

 17年のWBCでは準決勝で米国に惜敗。坂本は人目をはばかることなくベンチで涙した。あれから4年が過ぎた。32歳で田中将、柳田とともにチーム最年長となった坂本は今、円熟期を迎えている。

 「オリンピックに野球はここ数年なかった。それがまた復活して、東京で開催される。まだ自分が現役でプレーしていて、そして選んでもらえた。たまたまそういうタイミングでプレーできるということは、いろいろ思うことはありますね」

 悲願の金メダルへ。「自分がやれることをしっかりやって、チームの力になれたらいい」。イチローがWBC日本代表を引っ張ったように、東京五輪日本代表には坂本がいる。(川手 達矢)

 ▽09年WBC決勝・韓国戦 3―2で迎えた9回、抑えのダルビッシュが2死から適時打を許して同点。それでも延長10回2死二、三塁から、イチローが韓国の抑え・林昌勇(イム・チャンヨン)から決勝の2点打を中前に放ち、連覇を決めた。不振が続いていたイチローは「最終的にみんなで笑顔になれた。僕は持ってますね、やっぱり」と笑った。

 ≪五輪でサヨナラは4度目≫日本が五輪でサヨナラ勝利を挙げるのは、04年アテネ五輪の1次リーグ・台湾戦以来17年ぶり4度目。過去3度はいずれも台湾戦となっており、ドミニカ共和国戦では初めてだ。なお、アテネ五輪のサヨナラ勝ちは、スコア3―3の延長10回1死満塁で小笠原道大(日)が左犠飛を放ち、4―3で勝利。1次リーグ突破を決めている。

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