【内田雅也の追球】歴史に学ぶ「無限」 

[ 2021年1月25日 08:00 ]

甲子園歴史館に展示中の佐山和夫氏サイン色紙
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 新年8日にあった日本野球機構(NPB)の新人研修会は新型コロナウイルスの感染防止のため、オンライン会議システムを使って行われた。

 画面を通して参加した新人選手たちは薬物防止や税の知識、暴力団の実態、SNS使用のモラル……などを学んだ。

 残念だったのは恒例化していた野球殿堂博物館の見学ができなかったことだ。2015年、当時の同館理事長、コミッショナーの熊崎勝彦氏が初めてカリキュラムに盛り込んだ。「プロ野球の現在の隆盛は多くの先人たちの努力で築かれている。長い歴史に深く感謝し、さらに野球界を繁栄させるのが、あなたたちの重要な使命」と諭した。

 当時、京大卒で話題だったロッテ・ドラフト2位の田中英佑投手が殿堂入りに京大出身者がいると知り「とても驚きました」と記念レリーフに見入った。京大前身、旧制三高出身の中沢良夫で、日本高校野球連盟会長を務めた人物だ。そんな発見があるだけで選手、人間として深みが出る。

 24日、阪神の新人合同トレーニングは休日だった。こんな時、阪神の選手ならば訪れて欲しい場所が甲子園歴史館だ。今年は中止だったが、NPBとして野球殿堂博物館の見学を行うように、阪神球団として引率するのもいいだろう。

 タイガースと高校野球、甲子園球場について多くの展示物がある。一通り見学して、先人たちの労苦や功績をたどるだけでも勉強になる。

 いま、歴史館では14日に野球殿堂入りを果たしたノンフィクション作家・佐山和夫さんのサイン色紙が展示されている。座右の銘「野球無限」との言葉が書かれている。

 日米の野球の歴史、そのルーツまで研究する野球史家は「野球は奥が深い。掘り下げていけば人間の根幹に関わる問題になってくる。無限の面白さを秘めている」と語っている。

 野球に携わる者、そして野球のプロであるならば、歴史に学びたい。

 日本ハムの栗山英樹監督は「野球の作戦なんて誰でも考えられる。人間は歴史、過去からしか学ぶことができない」と論語や菜根譚などの古典を読んで学んでいる。

 「歴史を知って野球がうまくなるのか」という問いには「なる」と答えたい。すぐに役に立つことはなくとも「人間的な競技」の根源に触れることは必ず血となり肉となる。この話はまた今度書きたい。「無限」への挑戦である。 (編集委員)

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