【スポニチ調査ファイル(3)】豊川・モイセエフ 「新基準バット1号」生んだスイングは天性×努力

[ 2024年4月26日 07:00 ]

豊川のモイセエフ
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 アマチュア野球の有力選手をリサーチする「スポニチ調査ファイル」。第3回は今秋ドラフト候補に挙がる豊川(愛知)のモイセエフ・ニキータ(3年)を調査する。ロシア人の両親を持ち、今春選抜で「新基準バット1号」を放った強打の外野手。高校通算15発超のパンチ力に確実性の高さも備える打撃の裏側を調べに向かった。 (随時掲載)

 モイセエフは、今春選抜で柵越え本塁打を放った2選手のうちの1人だ。強打の秘けつは、スイングの美しさと速さにある。スイング軌道は天性のものらしく「結構、自然にできた形」と証言する。

 トップの位置は頭よりも少し高めに置き、右足を上げると同時に顔付近まで引き寄せる。そこから体に巻き付けるようにしてバットを出す。「下半身の力をどう伝えるかを考えています。最後に股関節を締めて力を出すイメージです」。フォロースルーも大きく、癖のない形が確実性の高い打撃を支えている。

 スイングの速さは、選抜で対戦した相手の証言が裏付ける。阿南光(徳島)との1回戦でのこと。凡退した1打席目後の相手ベンチ内では「スイング速すぎやろ。見えんかった!」などと盛り上がっていたという。そして、4打席目に右翼ポール際にライナー性で大会1号を放り込んだ。

 スイングの美しさが天性のものなら、速さは努力で身につけた。長谷川裕記監督は「最初からスイングに軸があったが、体が細くて話にならない感じだった」と振り返る。「本塁打を打てないとプロに行けないよ」と伝えられたモイセエフは、1食当たり1キロ以上の白米を食べ、自主練習でウエートトレーニングを追加し、体重を入学時の66キロから82キロにまで増やした。すると1年時は0本塁打だった長打力が、2年秋終了時に通算14発を数えるまでに開花した。

 「プロでトリプルスリーを狙える選手になりたいです」。低反発バットで放った強烈な一発を見れば、壮大な目標も夢ではなさそうだ。 (河合 洋介)

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