【キヨシ氏＆番長　新春爆笑対談1】大輔型のチームカラー、リーゼントに固めちゃえ

対談で笑顔を見せる中畑清氏（左）と三浦大輔監督（撮影　森沢　裕）
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　1998年以来、23年ぶりの優勝を目指すDeNA・三浦大輔新監督（47）とチーム初代監督を務めた中畑清氏（67＝本紙評論家）の新春対談が実現した。「絶好調男」の突撃に「番長」もタジタジ。04年のアテネ五輪、DeNAでは12～15年の4年間で監督と選手だった師弟関係だからこそ明かした現在の心境、当時の舞台裏、さらに監督道まで本音で語り合った。（取材・構成　町田　利衣）

　中畑　あけましておめでとう、三浦大輔監督。やっと来たね。本当に待ちに待ったよ。

　三浦　中畑さんとはほとんど接点がなく、アテネの時から話すようになった。アテネが終わって、まさか同じチームになるとは思っていなかったです。

　中畑　DeNAになって、俺が監督になるって聞いた時の気持ちはどうだった？

　三浦　大丈夫なのかなあって（笑い）。

　中畑　本人を前にしてよく言えるな！

　三浦　でもアテネで一緒にやらせてもらっているから、良かったなと思ったんですよ。

　中畑　ベイスターズは間違いなく大輔のチームだという印象があった。だから大輔に俺の野球道みたいなものを最初に理解してもらいたいなと思って、一緒に食事をしたよな。

　三浦　カラオケも行きました。

　中畑　俺の場合、それはセットだから。でもな、選手と食事に行ったのはたぶん大輔だけ。このチームは大輔が主軸で、ゆくゆくは監督になる男だと理解していた。その方針は決まっていたし、それを先に理解してもらおうと思って話をしたことがあったじゃん。“次頼むぞ、俺の後はおまえだ”って。おまえはそれに従わなかったんだ。

　三浦　いやいや、僕はまだ現役でしたし、辞めるつもりもなかったですから。でも今思えば、引退後にいろいろなことを経験できて良かったと思います。

　中畑　引退したのが2016年か…。

　三浦　ユニホームを脱いで2年間、外から野球を勉強して、19年に1軍投手コーチ、20年に2軍監督をさせてもらいました。

　中畑　一番この経験ができて良かったなと感じているのは？

　三浦　現役の最後はコーチ兼任でしたが、専任の1軍投手コーチは難しく、教える、この感覚を伝える難しさを経験できて良かった。ファーム監督は非常に勉強になりました。試合の流れを見ながら守りも攻撃も両方できたのは良かったです。

　中畑　2軍の時、攻撃のサインも大輔が出したの？

　三浦　万永総合コーチに口頭で言ってコーチャーへのサインを出してもらっていましたけど、采配は自分でやっていました。育成の観点もあり、勝負に徹する試合もできた。

　中畑　上に立った方が自分を生かせるという感じはする？2軍監督の1年間の方が楽しかったか？

　三浦　大変だけど充実した一年でしたね。

　中畑　大変だった？俺は監督4年間やらせてもらったけど、全然大変じゃなかった。凄く楽しかった。

　三浦　本当に、見ていて楽しそうでした。

　中畑　毎日変化があってチームが成長する。毎年違う顔になるじゃない。役者によって変わる、その演出が監督の仕事。大輔はどういう色に出来上がるのかな。リーゼントに、大輔型に固めちゃえばいいじゃないか。

　三浦　自分らしくやります。でもファンの人に楽しそうというのが伝わるようにしたいしベンチも明るくしたい。監督、コーチの顔色をうかがってプレーしては相手と戦えない。雰囲気づくりはしていきたいと思います。

　中畑　雰囲気も大事にしながら、やはり勝つことだよな。

　三浦　打つ方はそろってきている。どうつなぎ合わせるか。つなぎになる選手が非常に大事なポイントです。

　中畑　梶谷が抜けたけど、佐野が伸びてきて、宮崎がいて、外国人がいる。これから出てきてほしい選手は？

　三浦　細川がファームで打撃タイトルを3つ獲って内容も良かったし、いよいよ1軍で結果を残す時。今、打つ選手が両サイド。左翼、右翼、一塁、三塁で、あとはセンターラインですよね。

　中畑　神里か。

　三浦　乙坂、細川、関根、桑原もいる。その選手たちが競争ですね。あと二遊間です。

　中畑　ソトは打つが守備でミスする怖さもある。ポジションは？

　三浦　僕のイメージは一塁。打力を生かしたい。そうなるとセンターラインは守れて、つなげる選手。チーム打撃ができる選手で両サイドの打撃を生かし、一つの打線を組みたい。二遊間には大和、倉本、柴田がいて、若い選手が入ってくる。

　中畑　捕手は？

　三浦　伊藤光、戸柱、嶺井。高城もいますけどファームで見ていて山本祐大が肩も強いし捕ってからも速い。凄く成長しているのが見えて楽しみ。あとは経験値だと思います。

　中畑　そして一番大事なのは、ピッチングスタッフだな。

　三浦　今永、東は手術明けでそれほど無理はさせられない。でも、戦力として働いてもらわないと困ります。

　中畑　2軍の若手でローテーションに入る可能性がある選手は？

　三浦　阪口、京山、中川。いい球も投げていたし、段階を踏んで経験を積んできていて、今年、勝負だなというところもあります。

　中畑　あとは、やはり抑え。去年は三嶋が頑張ったけど、あそこまでやると思った？

　三浦　気持ちの面がより強くなりましたね。佐野も4番で成長した。ポジションが三嶋を育てたのかな。あれだけやりましたから現状で言えば三嶋です。

　中畑　山崎が復活してきた時にどういう顔触れになってくるのか、興味があるな。

　三浦　（山崎）康晃は必要不可欠だから早く調子を取り戻してもらわないと困るし、分岐点だと思います。年が替わってリセットされて抑えでスタートというわけにはいかない。もう一回はい上がってきてもらわないと。

　中畑　競争意識がチーム内に出てくれば、もっとチームも変わってくると思うな。ドラフト1位で去年が1年目だった森はどう？
　三浦　いいですよ。スピードもあり、非常に楽しみな選手です。

　中畑　ファームなのか、1軍で我慢して使い続けるのか。

　三浦　もちろん1軍の経験も必要ですけど、まだまだファームでやらないといけないことも残っている。土台をつくってあげないと後々苦労しますから。

　中畑　物足りない？

　三浦　まだまだ。

　中畑　俺だったら思い切って使っちゃう。使わないと育たないという哲学があるのよ、野手は特に。

　三浦　1年間やる体力も必要ですし、まだまだそこまでは達していないので。

　中畑　森がどこまで頑張って自分をつくってくるかというところだね。（2に続く）

　◆中畑　清（なかはた・きよし）1954年（昭29）1月6日生まれ、福島県出身の67歳。安積商（現帝京安積）から駒大を経て75年ドラフト3位で巨人に入団。4年目の79年から1軍に定着し、オールスター出場6度。ゴールデングラブ賞を7年連続で受賞した。通算成績は1248試合で打率.290、171本塁打、621打点、70盗塁。日本プロ野球選手会の初代会長。04年アテネ五輪では監督代行として指揮を執り銅メダルを獲得した。12～15年に初代DeNA監督。右投げ右打ち。

　◆三浦　大輔（みうら・だいすけ）1973年（昭48）12月25日生まれ、奈良県出身の47歳。高田商から91年ドラフト6位で大洋（現DeNA）入団。97年に初の2桁10勝。開幕投手を7度務め、05年には最優秀防御率、最多奪三振のタイトルを獲得した。1軍公式戦で23年連続勝利はプロ野球タイ記録。引退した16年まで実働25年で通算535試合に登板し172勝184敗、防御率3.60。オールスター出場6度。04年アテネ五輪では日本代表として銅メダルを獲得した。右投げ右打ち。