【キヨシ氏&番長 新春爆笑対談2】明るいチームの雰囲気…中畑イズム継承します!

[ 2021年1月6日 08:30 ]

真剣にDeNAの未来像について語り合う中畑清氏(左)とDeNA・三浦新監督
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 1998年以来、23年ぶりの優勝を目指すDeNA・三浦大輔新監督(47)とチーム初代監督を務めた中畑清氏(67=本紙評論家)の新春対談が実現した。「絶好調男」の突撃に「番長」もタジタジ。04年のアテネ五輪、DeNAでは12~15年の4年間で監督と選手だった師弟関係だからこそ明かした現在の心境、当時の舞台裏、さらに監督道まで本音で語り合った。(取材・構成 町田 利衣)

 中畑 三浦野球が見えてきたな。

 三浦 固定概念にとらわれず、柔軟な考えでコーチの意見を取り入れながら、最終的に責任を持って決断したいなと思っています。

 中畑 結構展開が早いから、考えている暇がなかなかない。

 三浦 それは感じましたね。実際ベンチに入った時のスピード感。特にファーム監督の時、いろいろ考えていても考えていないことが突然起きて、瞬時の判断が必要になる。

 中畑 アイデアがハマらない時にちょっと慌てる。間に合わないことが最初はいっぱいあったよ。

 三浦 1軍の監督になったら、もっと早くなるのかなって。そのためにコーチの助言も大事にと思います。

 中畑 大輔のスローガンみたいなものは?

 三浦 個人の気持ちは「結束」です。ベンチにいる選手だけではなく、1軍、ファーム、スタッフ、ファン、みんなが一緒にならないといけない。

 中畑 俺のスローガン覚えてる?

 三浦 覚えていないです、すみません。

 中畑 最初の年は「熱いぜ!横浜DeNA」。大輔にも合っていると思うんだ。「熱いぜ」は。

 三浦 さすがに人が使ったものは…。

 中畑 でもその言葉の中に常にメッセージを送り続け、“俺の野球はこうだ”とファンに伝わればいいと思うんだ。大輔はキャンプとかでも一番ファンを大事にしていた。あれは自然にできたもの?

 三浦 応援が励みになっていましたし、より強くなったのはストライキの時(※1)。20年のコロナ禍で、選手も改めてファンあってのプロ野球と感じたと思います。

 中畑 これは野球界全体で必要だよな。給料だって球団からもらっている感覚でいたけど、本当はファンから頂いている。感謝の気持ちをもう一回、呼び戻すキッカケになったかもしれないな。

 三浦 ただ野球をやって見に来てもらえるのではなく、ファンの方がどれだけ楽しめるのか、ワクワクしながら球場に来てもらえるようなプロ野球でないとダメだと思います。

 中畑 どっちの野球が好き?守り勝つ野球と打ち勝つ野球。

 三浦 勝てれば何でもいいのかな、という本音もあります。1軍は結果が最優先ですし、監督として結果を求められると思うので。

 中畑 俺は育てて勝つ野球は一番難しいと思った。でも監督冥利(みょうり)に尽きる。今、1軍でも育てないといけないチーム状況だと感じるんだよ。

 三浦 そうですけど、チャンスをものにしなかったらファームに行ってもらうしかない。代わりがいればどんどん代えていきたい。

 中畑 いいね。厳しいというか、当然と言えば当然だけど。

 三浦 勝負事ですから、どのメンバーでいけば一番勝つ確率が高くなるのかを求め続けていかないといけないと思っています。

 中畑 ところで少しはさ、俺のイズムを継承します、とかいう話はないのかよ。

 三浦 あのー…。中畑さんの下でやらせてもらった経験を生かして…。

 中畑 そういうコメントよ。例えば、どこが良かったんだ?

 三浦 明るい、チームの雰囲気ですよね。キャンプにあれだけファンの方が見に来てくれたのは優勝した時以来(※2)。やはり注目されて、見られている中でやるのがプロ野球ですし、キャンプにあれだけのファンの方がいるともう一歩頑張れた。土台として選手の力を付け、その後のCS進出とかにつながったと思います。

 中畑 最後に一番いいこと言ってくれて、それを聞けただけで今日来たかいがあったよ。さあ、目標は?

 三浦 優勝しかないです。FAで選手が抜けて弱くなった、三浦が監督になって弱くなったとは絶対に言われたくない。燃えてます。

 中畑 三浦大輔の覚悟。しかも開幕戦、ジャイアンツだもんな。

 三浦 それくらいの覚悟を持ってやらないと、監督ってできないと思いますから。

 中畑 大輔がどういう野球を見せてくれるのか、凄く楽しみになりました。期待を持って見ていきたい。応援しています。

 三浦 ありがとうございました。

 ※1 04年6月に近鉄とオリックスの合併が発表されたことに端を発する球界再編問題でプロ野球選手会は将来の1リーグも見据えた経営者側の球団削減姿勢に反発。その後も話し合いは平行線で同9月18、19日に史上初のストライキが決行された。

 ※2 日本一達成の翌99年にキャンプイン前日の1月31日に宜野湾市で「日本一凱旋パレード」を実施。当時の権藤監督以下34人がオープンカー15台に分乗。約3万人が沿道に繰り出した。

 ◆中畑 清(なかはた・きよし)1954年(昭29)1月6日生まれ、福島県出身の67歳。安積商(現帝京安積)から駒大を経て75年ドラフト3位で巨人に入団。4年目の79年から1軍に定着し、オールスター出場6度。ゴールデングラブ賞を7年連続で受賞した。通算成績は1248試合で打率.290、171本塁打、621打点、70盗塁。日本プロ野球選手会の初代会長。04年アテネ五輪では監督代行として指揮を執り銅メダルを獲得した。12~15年に初代DeNA監督。右投げ右打ち。

 ◆三浦 大輔(みうら・だいすけ)1973年(昭48)12月25日生まれ、奈良県出身の47歳。高田商から91年ドラフト6位で大洋(現DeNA)入団。97年に初の2桁10勝。開幕投手を7度務め、05年には最優秀防御率、最多奪三振のタイトルを獲得した。1軍公式戦で23年連続勝利はプロ野球タイ記録。引退した16年まで実働25年で通算535試合に登板し172勝184敗、防御率3.60。オールスター出場6度。04年アテネ五輪では日本代表として銅メダルを獲得した。右投げ右打ち。

 【取材後記】中畑氏と三浦監督の対談時、バックに30枚の写真を飾った。監督と選手として接した数々のショット。中でも12年4月1日阪神戦(京セラドーム、写真)は特別だ。中畑監督の、そしてDeNAの記念すべき初勝利は番長の7回2失点の力投が呼んだもの。写真を見渡した三浦監督が「一番印象に残っているのは、これですね」と話せば中畑氏も「あれは本当にうれしかったなぁ」と呼応した。また三浦監督は春季キャンプで乗る自転車を「キヨシ君」と名付け、毎朝散歩を行う中畑氏の横をさっそうと通り抜けていたという。懐かしい光景がよみがえり、しばらくの間、思い出話に花が咲いた。そんな特別な先輩だからこそ明かした新監督としての覚悟。三浦ベイスターズの野球が楽しみだ。(20年DeNA担当・町田 利衣)

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