試合決行は運営マニュアル改訂の成果 阪神は独自に濃厚接触の疑いある福留ら隔離

[ 2020年9月26日 05:30 ]

<ヤ・神16>阪神ナインの乗るバスは換気のためか窓が開けられていた(撮影・小海途 良幹)
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 【記者の目】プロ野球は開幕後選手初の感染者となるソフトバンク・長谷川が陽性判定を受けた8月1日には、翌2日の西武戦の中止を決めた。長谷川は7月7日から2軍調整中だった。今回は阪神1軍から計7人もの感染者が出たが、ヤクルト戦開催を決断した。違いは一体何なのか。

 長谷川のケースでは、同じ2軍施設内にある寮で暮らす1軍6選手も含め、濃厚接触者の特定が間に合わなかった。1軍全関係者の緊急検査は2日に行われ、3日には1軍スタッフ1人の感染も判明。濃厚接触者の特定は4日までずれ込んだ。

 今回は試合前に緊急検査の結果は判明し、所轄の西宮市保健所へ行動履歴を提出し、濃厚接触者の特定に至った。さらに阪神は保健所は濃厚接触者にあたらないとした福留、江越、木浪、小林の4選手も独自で濃厚接触の疑いのある者として隔離した。保健所、臨時実行委員会や対戦相手のヤクルト、専門家チームと相談の上でこの日の開催が決まった。

 長谷川の事案などを受けて8月半ば、保健所の濃厚接触者特定が間に合わない場合でも、独自に濃厚接触の疑いのある者は隔離して、試合が行えるよう運営マニュアルを改めていた。加えて、繁忙な保健所との連携を深めていくことを繰り返し確認してきた。

 世界が自粛から経済再開へ傾く中「チームを止めない、シーズンを完走する」と12球団は一致してきた。コロナ禍で感染のゼロリスクは望めないが、いかにリスクをゼロに近づけ、歩み続けるか。積み重ねてきた知見が開催に大きく寄与した。 (NPB担当・後藤 茂樹)

 ▼三鴨広繁氏(愛知医大感染症科部長)今回は保健所がクラスターではないと判断し、陽性者も濃厚接触者となった選手も外している。これまで試合を中止としたケースは陽性者や濃厚接触者の確定が間に合わなかったためで、感染拡大の芽を摘んで開催した今回とは違う。野球以外のスポーツイベントにも適用できるだろうし、五輪もこれを基に運用マニュアルが確立されれば開催できるのではないか。今回の件は、いいお手本となるのではないか。

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