ソフトB・千賀 復活1勝!初回に自己最速タイ161キロ、5回3失点反省「助けてもらった」

[ 2020年7月8日 05:30 ]

パ・リーグ   ソフトバンク4―3楽天 ( 2020年7月7日    ぺイペイD )

今季初勝利を挙げたソフトバンク先発の千賀(撮影・中村達也)
Photo By スポニチ

 ソフトバンクの千賀滉大投手(27)が7日、楽天戦で今季初登板初先発し、5回を4安打3失点で今季初勝利を挙げた。右前腕部の張りで出遅れたエースは初回にいきなり自己最速タイの161キロを計測。首位を走る強打の楽天打線を抑え、先発の役目を果たした。記録的な豪雨に見舞われている九州各地の被災者に黙とうをささげた一戦で復活白星を挙げた。

 千賀の唯一の不安は、雰囲気だった。ファンの大歓声がない、初めて経験する無観客の中でアドレナリンは出るのか。「(シート打撃などの)打撃練習みたいな感じだとは思うんですけど…」と、複雑な心境で迎えた今季初登板だった。

 本拠のペイペイドームに着くと、監督室のドアを叩き、工藤監督と顔を合わせて決意を新たにした。グラウンドに出ると、王貞治球団会長が握手で迎えてくれた。自然と、気持ちは高まった。

 静かなマウンドに上がると、全力で腕を振った。先頭・茂木への4球目に自己最速タイとなる161キロ。昨季も開幕戦初球で計測した剛球をいきなり投げ込んだ。5球全て直球で見逃し三振。2死一、二塁から島内に先制の2点打を許す。3回には浅村にソロを浴びた。6月の2軍戦で投げ始めた新球シンカーは1球だけ投じたが、「使える球じゃない」と封印。5回まで94球で粘り、直後に柳田が勝ち越し打。初白星が転がり込んできた。

 「野手と中継ぎの皆さんのおかげ。助けてもらった」。反省しきりの初登板だったが、首位・楽天との6連戦初戦を取った意味は大きかった。

 2月に右前腕部の張りを訴え、離脱した。リハビリを続けながら、自主練習期間となった4、5月にはフォーム改造に着手した。左足を一塁側に引いた状態から始動したり、さまざまな形を試した。昨年までをA、新たなフォームをBと例え、模索した。その結果、「自分には合わないなと思ったりして。今はABくらいですね」とマイナーチェンジに終わったが「いい時間だった」と開幕延期をプラスに変えた。

 九州を襲った豪雨で命を落とした人がいる。球団と選手会はそれぞれ100万円の義援金を送ることを発表。試合前に黙とうをささげ、国旗に黒リボンをかけて弔旗として掲揚した。千賀は「試合中も雨の音が聞こえたので凄いなと。(テレビで)凄い映像が流れているのでこれ以上大きな被害が出なければ」と思いやり、工藤監督も「ホークスらしい野球をして少しでも明るい話題を届けたい」と神妙な表情で言った。

 「週頭に5回ではいきなり足を引っ張っているようなもの。次の登板に向けてしっかり調整します」と千賀。次回登板予定の14日オリックス戦(京セラドーム)では、観客の前で投げられる。その喜びをかみしめながら、敵地のファンを静かにさせる。(川島 毅洋)

続きを表示

2020年7月8日のニュース