西武・松坂 記者の楽しみはカーブ しびれる場面で見たい

[ 2020年5月15日 09:30 ]

西武の松坂
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 少し前になるが、西武は4月23日に特別企画「メットライフ生命Presents ライオンズベストプレー賞」を発表した。

 3月13~15日のヤクルトとのオープン戦(メットライフドーム)が対象のファン投票。表彰は「松坂投手の古巣復帰後 本拠地初登板でいきなり奪三振(15日)」だった。

 6回から登板。先頭で難敵・山田哲人と対戦し、132キロの高めのカットボールで空振り三振を奪った。ファンの心に響く対戦だったのは間違いない。結局3回無失点だった。

 だが、記者が独断でこの登板の「ベストプレー賞」を選ぶなら、代打・西田に投じた114キロの「カーブ」を選出したい。7回2死三塁。フルカウントで投じた1球。一度浮き上がり外角へ沈む落差に、西田は腰が砕けバットは空を切った。

 「あっ、あのカーブ」と思った。2月のキャンプから投球はほぼ見届けた。ブルペンは緊張感に包まれ、一球一球を丁寧に投じていた。その中で記者の楽しみはカーブだった。

 理由は平成の怪物の代名詞ではないからだ。「いつ、どこで使うのか」。ブルペンでの球数は少なく、印象も薄かった。実際、翌日(16日付)の本紙でもカットボール系の「スプリットチェンジ」を投じた記事。今の松坂を表現している。

 この登板では48球中、カーブは4球のみだった。だが、その4球のうち1球が、ピンチでウイニングショットに。古い見方かもしれないが、カーブは分かりやすいし、ファンにも伝わりやすい。

 辻監督は先日、松坂について、当初の日程通りに3月20日の開幕だった場合は「第1カード(日本ハム3連戦)で行く予定だった」と、先発させる方針だったことを明かした。39歳への信頼も厚い。故障さえなければ今季の先発登板は確実だ。

 その時は、再びカーブを見たい。しかも、しびれる場面で。打者を出し抜き、背番号16は悠然とマウンドを降りる。「平成の怪物」の今のスタイルを象徴する光景に、記者も拳に力が入る。(記者コラム・大木 穂高)

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2020年5月15日のニュース