福島・聖光学院 15年夏の甲子園導いた「名主将」がコーチ就任「母校で日本一を」

[ 2020年5月10日 06:37 ]

聖光学院のコーチに就任した三浦氏
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 主将として福島県の聖光学院を15年の夏の甲子園に導いた三浦陸氏(22)が、今春から母校野球部のコーチに就任した。本紙の電話取材に応じた、かつての「名キャプテン」は、斎藤智也監督(56)と横山博英部長(49)から夏13連覇中の絶対王者のメソッドを学び、聖光学院を悲願の日本一へと導くことを誓った。

 “聖光魂”を知る頼もしい男が戻ってきた。9年連続となる聖地への切符をもたらした元主将の三浦コーチ。4年ぶりに母校に戻り、ノックバットを持つ。

 「自分の言葉や行動で、生徒を良い道に導きたいと思って教師になった。僕は中学、高校、大学と全国制覇できていない。母校で日本一を目指したい」

 15年の夏の県大会では20番、甲子園では14番を背負った。高校最後の夏は1試合も出場していない。「出ていないからこそ、みんなの気持ちは分かっていた」。グラウンドに立てなくてもチームを思い、見事にまとめた。だからこそ、斎藤監督は三浦コーチを「名キャプテン」と称する。

 体育教師になるため、斎藤監督と同じ仙台大に進学。準硬式野球部に入部した三浦コーチは、2年の夏に主将になった。「当たり前のことを当たり前にやった」と喫煙を禁止するなど私生活を改善し、団結力を高めた。三浦コーチが2年の秋に2部を制し、3年春には1部で優勝。全国大会でも8強まで進んだ。約30人だった部員も100人を超えるなど、大学でもリーダーシップを発揮した。

 忘れられない言葉がある。聖光学院2年の冬、主将だった三浦コーチに頼り切りのチームの自立を促すため、斎藤監督の指示で主将から外れた。ナインが成長し、15年3月に主将に戻ると、指揮官から声を掛けられた。「おまえと一緒にチームをつくりたい」。三浦コーチは驚いた。「実績がある中で、監督はいまだに自分を高めている。そんな方が子供の僕に真っすぐ言葉を託せるなんて凄い」。

 斎藤監督を支える横山部長についても「あれだけ生徒にぶつかれる人はいない」と尊敬する。“柔の斎藤”と“剛の横山”の2人の指導者から、三浦コーチは全てを吸収する。

 「3時間やるより、1時間みっちりやった方が良いと思っていた。でも試合は約3時間。3時間しっかりやれる集中力を持たせたい」と自分の指導のイメージもある。「選手と一緒にノックを受けたり、上から目線じゃなくて一緒に歩んでいきたい。選手とともに成長したい」。夏13連覇中の絶対王者に、三浦コーチが新風を吹き込む。(近藤 大暉)

 ○…三浦コーチの同期には、ロッテのドラフト2位ルーキー・佐藤都志也捕手(22)がいる。「あいつは努力できるタイプで、東洋大で首位打者を獲ったり、大学日本代表に選ばれてたのを見て励みになっていた」とプロ入りを喜んだ。もちろん刺激になっており、「都志也が上に行けば自分も上に行ける。舞台は違うけど、どっちが先に日本一を獲るか競争です」と真剣な表情だった。

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2020年5月10日のニュース