駒大・小川、野球道から仏道へ 400年超続く実家の寺の跡継ぎに

[ 2019年12月29日 05:30 ]

実家の寺を継ぐため永平寺で修行する駒大・小川
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 東都大学野球リーグ各校の4年生の進路が出そろった。神宮のマウンドに立った男が修行の道を選んだ。駒大の小川良憲投手(22)は進路先を曹洞宗の大本山・永平寺(福井県)に決めた。滋賀・彦根にある実家、大雲寺を継ぐための決断。近江時代は甲子園に出場し、ドラフト候補となった右腕が迷うことなく厳しい世界に入る。

 小川は野球への未練はきっぱり断った。「高校の時、将来はプロに入りたいという気持ちもあった」と言うが、どこかに家を継ぐとも考え駒大の仏教学部を選んだ。近江では2年夏、3年春と甲子園にエースとして出場。ともに初戦を完封。ドラフト候補にも挙がった。

 だが駒大に入学して「1年目はちゃらんぽらんで全体練習はしていても自主練習はしなかった。これじゃ駄目だと思って2年になって真剣に野球に打ち込んだら右肘を痛めてしまった」と1年間を棒に振った。4年になった今春、初めてリーグ戦に登板、8試合で1勝1敗、防御率0・78と結果を残したが本人は「内容が良くなくて踏ん切りがついた」と将来を決めた。

 1244年、道元禅師が曹洞宗を開いた永平寺には1年間入る。朝は4時半に起き、1年365日が修行。冬は氷点下、もちろん携帯電話も持てない。「決めたことだから覚悟はできています。父も70歳を超えて大変だから」。実家である400年を超える大雲寺の将来を思う。卒業式前の来年2月に永平寺に向かう。同期で秋田・能代の実家の寺を継ぐ築地徳龍内野手とともに修行の道が始まる。 (落合 紳哉)

 ◇小川 良憲(おがわ・りょうけん)1997年(平9)11月13日生まれ、滋賀県彦根市出身の22歳。小3で野球を始め投手一筋。近江2年の夏の甲子園では初戦の鳴門戦を完封。3年春は九産大九州戦を完封、2回戦では県岐阜商・高橋純平(現ソフトバンク)と投げ合い敗れた。実家の大雲寺は400年以上続く禅寺。特技は部員が絶賛する歌。EXILEが得意でカラオケの最高点は97点。家族は両親、姉2人、兄、妹。1メートル78、78キロ、右投げ右打ち。

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