阪神・鳥谷、同点打 虎党大歓声&G党からも拍手「ありがたい」

[ 2019年9月16日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神5―6巨人 ( 2019年9月15日    東京D )

4回2死満塁、鳥谷は菅野から右前に2点適時打を放つ(撮影・大森 寛明)
Photo By スポニチ

 阪神は15日の巨人戦に逆転負けし、優勝の可能性が消滅した。2006年から14年連続V逸となる中、今季限りで退団する鳥谷敬内野手(38)が4回に代打出場して一時、同点となる2点打を記録。悔しい敗戦にあって、最大の見せ場をつくり敵地に詰めかけた虎党を沸かせた。

 流れを引き戻すための勝負手に鳥谷が結果で応えた。1―3の4回2死満塁。岩貞の代打で登場すると、2ボール1ストライクから菅野の内角寄りカットボールを捉えた一打は一塁左をゴロで破る同点の2点打となった。

 「自分の打席に集中して、積極的に振りにいきました。ランナーを還すことができて良かったです」

 相手エースに対し、雰囲気でプレッシャーを与え、結果でダメージを与えた。代打がコールされると虎党から大歓声。一部の巨人ファンからも拍手が送られるなど異様なムードがつくられた。「満塁というチャンスだったので、そこら辺を聞いている余裕はなかったですけど。ありがたいですね」。この打席前まで得点圏は35打数1安打だったが、見えない力にも後押しされ、苦しむ菅野に同点打を浴びせ、木浪の適時打で勝ち越しの生還を果たした。

 先発の岩貞は3回まで3失点。続投の選択肢があるなかで、中継ぎ陣への信頼、残り試合数、相手打線などあらゆる要素を加味した上での「代打鳥谷」だった。「いいムードになったしね。あそこでこっちにね。流れを変えてくれた一打だったのでね。それを期待して打ってくれたので、良かったと思います」。決断した矢野監督も賛辞を送った。

 宿敵の本拠地である東京ドームにも16年間の足跡が刻まれている。04年4月2日の開幕戦。新人ながら「7番遊撃」で先発し1点を追う8回1死一塁で前田からプロ初安打となる左前打を記録。この一打を始まりにこの日で安打数は2084となった。11年5月3日には自身の本塁打に新井、ブラゼルが続き「平成のクリーンアップ3連発」と呼ばれる衝撃を残した。相手はもちろん、巨人だった。

 13年の第3回WBC台湾戦で1点を追う9回2死一塁から同点につなげる二盗を成功させたのも同地だった。虎党のみならず、野球ファンの心を奮わせるプレーを数多く披露してきた東京ドームで退団が迫る16年目のこの日も役割を全うした。

 以前より少し高い位置でバットを構えるなど、結果を出すために微調整を続ける。プロ2年目で経験した05年のリーグ優勝を最後に、14年連続のV逸が決まった日。悔しすぎる敗戦にあって、背番号1が最大級の輝きを放った。 (巻木 周平)

続きを表示

2019年9月16日のニュース