【惟任貴信 研球】阪神と巨人、練習法の違いと打力の差

[ 2019年8月19日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神3―6巨人 ( 2019年8月18日    東京D )

板を使って投げ込む巨人打撃投手(撮影・坂田 高浩)
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 カード最終戦だったこの日は、普段より早めに東京ドームへ向かった。ビジターの阪神より、およそ2時間早く始まる、巨人の試合前練習を見ようと思い立ったからだ。まだ阪神が到着していない、ほぼ無人の三塁側ベンチから巨人の打撃練習を見ていると、一つ、阪神との違いに気づいた。着目したのは打っていた打者ではない。打撃投手の足元に目をひかれた。

 通常、プロ野球の試合前のフリー打撃ではマウンドを使わない。試合前に、足場を荒らさないためだ。そこで2カ所打撃なら打者から見てマウンドの左右斜め手前、1カ所なら真ん中手前に防球ネットを置いて、そこから打撃投手が投げる。阪神も巨人も、その点は共通している。

 ただ巨人の打撃投手が違ったのは、薄い直角三角形の板の上から投げることだ。ちょうどマウンドと同じくらいの傾斜を使い、打者にボールを投じていた。阪神では、見かけない光景だ。

 狙いは明白だ。試合での打席を想定し、直前の練習から角度の付いたボールを打っているのだ。平地からの軌道と、傾斜からの軌道とでは打席からの「ボールの見え方」がまったく違うと聞く。だからプレーボール3~4時間前に、試合と同じ軌道を体感することは、打者にとって試合に入りやすくなる効果が期待できる。その練習を見た阪神の関係者も「平地から投げる軌道と傾斜を使って投げる軌道は、どうしても違いますから。だから練習から傾斜を利用しているんでしょう。ウチのメッセやガルシアのような角度を武器にする投手との対戦に向けては、いい準備になるんじゃないでしょうか」と話し、「広島もやっていたと思いますね」と続けた。

 ここでは、阪神と巨人のどちらが是か非かを、論じるつもりはない。ただ、事実として、今季の阪神は貧打に苦しんでいる。投手陣がリーグ屈指のチーム防御率を誇る半面、打線はリーグワーストの409得点、同389打点、リーグ5位の75本塁打……と寂しい数字のオンパレード。痛恨の3連敗を喫した今カードも、3試合で計6得点しか奪えなかった。

 正直、巨人の練習法の効果の有無は、分からない。だが貧打打開を目指す上で、さまざまな方法に取り組んでみるのも、一手ではないだろうか。何か手を打たなければ、何も生まれないからだ。

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2019年8月19日のニュース