日本ハム・栗山監督が吉田輝を1軍デビューさせた理由「俺は信じている」

[ 2019年8月15日 08:30 ]

<日・ロ>3回、先頭の鈴木に安打を許したところで吉田輝は降板(撮影・長久保 豊)
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 先月末、日本ハム・栗山監督が、ドラフト1位・吉田輝星投手を今年6月に1軍デビューさせた理由を語ったことがあった。高卒1年目ながら1軍で投げるのに値する力があったのはもちろん。だが、それだけではない。それは長いプロ野球人生を見据えたこともあったという。

 「(前回の1軍の登板後に)ツーシームどうこうと言ってたけど、勝手に自分でいろんなことを考えている。この世界は人に言われてやっちゃだめ。そのために1軍で投げさせた。何かが足りないと思ったんじゃない?やっぱりここ(1軍)に来た意味は凄くあった。あとは、どう野球をやるんだよ、と。野球をもっと頑張らなきゃいけないと思ったはず」と意図を説明してくれた。球団の方針としても、選手に強制的に練習をやらせるのではなく、常に選手に何が足りないかを自身で考えさせている。吉田輝もその方針の一環だが、指揮官はその機会を早めに与えたかったという。

 「例えば、1000万の車や5000万の時計を買いました。毎日100万円の飯を食ってます、でもいい」。プロ野球選手だからこそ豪華な生活を過ごすことにも理解を示しつつ、こう続けた。「それより、この大観衆の中、活躍したらどれだけ気持ちいいか。そんな快感ってない。皆、喜んでくれるし、誰かに夢を与えられる。そしたら、自分がどんな生活をしなきゃいけないかがわかる。遊ぶのはいつでも遊べる。というのも含めて早く(1軍を)経験させたというのが実はある。俺は吉田輝星を信じている。やってくれると思う」。指揮官の言葉は自然と熱を帯びていた。

 プロ3度目の登板となった14日のロッテ戦(東京ドーム)は、3本の本塁打を浴びるなど2回0/3を5安打6失点で2敗目。満員の3万5905人のファンが見守る前で勝利に導けず、チームは今季ワーストを更新する8連敗を喫した。それでも長い目で見れば、この悔しさを糧にプロの世界で生き抜く術を必死で考える時間は決して無駄にはならないはず。試合後、2軍降格が決まった吉田輝は「そういう相手のスタンドがため息つくような投球をすれば、相手のいい雰囲気を断ち切ったりできる。チームの連敗を止められるような投手になりたい」と誓った。

 昨夏甲子園では金足農のエースとして準優勝。満員の甲子園を沸かせる原動力となった。うねりを上げるような大歓声は脳裏に焼き付いている。聖地のマウンドで躍動した姿を再び見られることを期待している。(記者コラム・東尾 洋樹)

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