【東東京】脳梗塞から懸命のリハビリ…4校連合・科学技術の坂本 最後の打者となるも「感謝しかない」

[ 2019年7月13日 17:11 ]

第101回全国高校野球選手権大会・東東京大会2回戦   浅草・かえつ有明・科学技術・桐ケ丘2―16錦城学園 ( 2019年7月13日    神宮第二球場 )

錦城学園に6回コールドで敗れ応援スタンド前に集合する都科学技術・坂本(右から3人目・眼鏡をかけた選手)ら都浅草・かえつ有明・都科学技術・都桐ケ丘ナイン(撮影・郡司 修) 
Photo By スポニチ

 4校連合チームが14点を追っていた6回2死。しっかりとした足取りで一人の選手が出てきた。手にはバット。科学技術の坂本(3年)だ。一塁側の応援席からは一段と温かい拍手が注がれた。まだ右半身には麻痺も残る身体で、懸命にバットを振る。結果は中飛。コールド負けが決まったが、涙ではなく笑顔で仲間と整列した。

 「感謝しかないです。チーム、仲間、家族、感謝です。身体がやばい状況なのに練習に混ぜてくれていた。本当に感謝という気持ちだけです」

 突然の異変に見舞われたのは1年時の2月だった。坂本は通学途中に激しい頭痛に襲われた。高校到着後、そのまま保健室に向かうと、そこから救急車で都内の病院に急行した。診断結果は「脳梗塞」。すぐに手術を受けた。「まさか自分が、という感じでした」。

 約3カ月、何もできなかった。体調不良で学校に行けない日もあった。野球の練習に行っても、ただ仲間に声をかけることしかできない。練習を終えたグラウンドでは左手でボールを拾う日々。それでも心を支えたのは、大好きな野球だった。 「野球が好きでした。だから、またみんなと野球がしたいと思って。そうしたらリハビリもできました」。

 連合チームの練習環境は苦しい。平日は各校で練習をこなし、日曜日には桐ケ丘のグラウンドで合同練習や練習試合に臨んだ。当然ながら他校に比べて連携プレーに割く時間も限られ、この日もミスが目立った。そんな過酷な状況でも構わなかった。坂本には大病を克服する「目標」として、野球があった。

 坂本は今日を一つの区切りとし、小2から始めて来た野球から離れ、まずは体調管理に全力を注ぐ。スタンドにはリハビリを一番近くで見守ってくれた母や家族の姿もあった。「繰り返しになってしまいますけど、やっぱり“感謝”という言葉以外、出てきません」と坂本。試合後は仲間と何度も記念撮影。その姿を見つめる母の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

続きを表示

この記事のフォト

「大谷翔平」特集記事

「始球式」特集記事

2019年7月13日のニュース