習志野の三塁コーチャー佐々木 美しい“土ならし”の気配り

[ 2019年4月3日 18:22 ]

第91回選抜高校野球大会決勝   東邦6―0習志野 ( 2019年4月3日    甲子園 )

<東邦・習志野> バッターボックスをならす習志野の三塁コーチ・佐々木 (撮影・後藤 大輝)  
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 習志野のクリーンな快活男が、決勝戦でもさりげなく目立った。三塁コーチャーを務める背番号「13」佐々木駿太(3年)は、攻撃時に一塁ベンチからコーチャーズボックスへ向かう途中で、必ず先頭打者が向かう打席の土をならしてから、三塁側へと走っていた。

 「試合では攻守交代のスピードが要求されます。特に甲子園でも。速いテンポで投げたい投手が、もし、うちの打者が投手に手を向けて“待って”のジェスチャーをしながら土をならしていたら、時間のロスになると思って。相手のことを考えたり、自分が相手投手だったら“いや”だなと思って。昨秋から、一塁ベンチでの試合では、いつもやっていますし、甲子園でも5回終了時の阪神園芸さんによる整備以外では、やってきました」。

 4月2日の明豊(大分)との準決勝でのこと。明豊の正捕手・成田武蔵(3年)が打席に佐々木が来て、土をならしているのを見て「おう、ありがとうなー」と声をかけた。さりげない気配り、気遣いに対する相手からの感謝は清々しかった。

 「その回の先頭打者が左・右、どちらかの打席かを把握して、打席に向かい、土に穴が掘られていたりしたら、スパイクで平たんに、ならす感じです」。

 当然、担当でもある三塁コーチャーとしての準備も完ぺきだ。自チームで二塁手としてノックを受ける際にはゴロが跳ねやすいか、跳ねにくいかの当日の土の状態を把握。相手ノックの際には野手陣の球の寄せ方、取ってから投げるまでのスピードをチェック。試合が始まれば、自チームの攻撃開始前の相手外野守備陣のキャッチボールの真剣さ、丁寧さまで凝視するという。

 実際に準決勝・明豊戦の4―3での8回2死二塁、二走がグランドコートを着たエース飯塚の場面でのこと。8番打者・兼子が、左翼手の正面へと転がるゴロ性の安打を放ったが迷わず、腕を回して飯塚は滑り込むとこなく本塁生還に成功した。左前適時打となり、突き放しに成功した。

 「(明豊左翼手・野上は)肩が何かおかしい、とずっと思っていたんです。調子が悪いのが分かってましたので勇気を持って腕を回しました」。観察からの洞察、予測に成功し満面の笑みを見せた。

 好きな言葉は「正義」。将来は、警察官になろうと思っている。まさに“正義整頓”の魂で、数々の強豪に競り勝ってきた習志野の快進撃を支えてきた。

 決勝戦では、東邦エース石川に打線が完全に沈黙し散発3安打完封負け。二塁すら踏ませてもらえなかった。それでも、佐々木は土をならしたあとに、声をからし続けた。

 「自分なりにミスなく仕事はできたと思っています。この敗戦をプラスにとらえて、夏に戻ってきたい。夏は、レギュラーの背番号を付けたいですね」。

 2回戦・星稜戦(石川)での「サイン盗み騒動」など、周囲は騒がしかったが佐々木は純粋に、ひた向きにチームのために尽力し、春を終えた。

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