広陵 河野 最速150キロ完封 投手2度のクビ宣告 中井監督「謝ります」

[ 2019年3月27日 05:30 ]

第91回選抜高校野球大会第4日 1回戦   広陵2-0八戸学院光星 ( 2019年3月26日    甲子園 )

3安打完封勝利を挙げた広陵・河野(撮影・北條 貴史) 
Photo By スポニチ

 1回戦3試合が行われ、広陵(広島)は2―0で八戸学院光星(青森)を破り、広島県勢の選抜大会通算90勝目を記録した。エース右腕の河野佳投手(3年)が初回に自己最速を2キロ更新する150キロをマークし、散発3安打の快投。過去3度の選抜優勝を誇る「春の広陵」が、16年ぶりの頂点に向けて最高のスタートを切った。

 最後の打者の痛烈なライナーが一塁手のミットに収まると、マウンド上の広陵・河野は右手をグッと握った。126球の完封勝利に「すごくうれしい」と笑みを浮かべた。

 緩急自在の投球を披露した。初回先頭で伊藤を三振に斬った4球目は、自己最速を2キロ更新する150キロ。「出そうと思っていなかったけど、ホッとした」。2回以降はほとんどが130キロ台に落ち、中井哲之監督(56)は「どこか故障でもしたんかと思った」と心配したが、7割の力で制球を重視したからだった。昨秋の中国大会準々決勝・関西戦で球速を意識しすぎて、7回途中8失点した反省が生きた。最大のピンチは8回。味方の2失策などから2死二、三塁を招き、プロ注目の3番・武岡と対峙(たいじ)。一塁は空いていたが「自信のある直球で勝負したかった」と141キロで内角を突き、力のない遊飛に打ち取った。

 実は2度も「投手クビ」を言い渡されていた。不振で制球力も球速も落ち、身長1メートル74と大きくない――。指揮官から1年冬に2カ月、2年の4月に2週間、野手転向を命じられた。それでも投手をあきらめきれず、涙ながらに復帰を直訴。憧れだという楽天・則本昂のようなダイナミックなフォームを意識し、体の使い方を変えたことで球速が飛躍的に向上した。中井監督は「クビにしようと思ったことを謝ります」と笑いエースを称えた。

 対戦を熱望する星稜・奥川が23日の履正社戦で見せた投球も奮起する材料になった。「17三振くらいはやるだろうなと思いました。あっちの方が(実力は)抜けていると思うんですけど、負けたくない」。この日の奪三振は奥川の半分以下の8個だが、被安打は同じ3本にまとめての完封。星稜には昨秋の明治神宮大会初戦でコールド負けを喫し、自らは劣勢の4回途中から救援した。最高の舞台で先発対決を実現させるためにも、負けるわけにはいかない。(石丸 泰士)

 ◆河野 佳(かわの・けい)2001年(平13)8月23日生まれ、広島市出身の17歳。小3から野球を始め、中学では「広島南シニア」で3年時に西日本大会3位。広陵では2年春からベンチ入りし、同年秋から背番号1。50メートル6秒5、遠投105メートル。1メートル74、76キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2019年3月27日のニュース