大谷 メジャーでも“らしい”スタート…担当記者が見た変わったこと、変わらないこと

[ 2018年3月4日 10:10 ]

キャンプで笑顔を見せる大谷
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 2月14日(日本時間15日)。エンゼルス・大谷翔平投手(23)がキャンプ初日終了後に記者会見で話した言葉が印象に残っている。

 「練習のやり方っていうのは文化の違いもある。そこは僕が適応していく必要がある。なかなかうまくいかないこともあるとは思うけど、練習をこなしていく中でそこに対応していけたらいい」

 大谷の言う「文化の違い」とは、まずはフリー打撃。7、8球を4、5人一組で回し、打撃投手がマウンドから約3分の2の距離で速いテンポで投げる。「野手投げ」でテークバックが極端に小さく、慣れていないとタイミングを取りづらい。だが、大谷はすぐに対応。まだ調整段階とはいえチームの顔であるトラウトやプホルスをしのぐ打球飛距離で周囲を驚かせている。

 ブルペン投球も日本ハム時代と大きく異なる。エ軍が取り入れるのはインターバルを取り入れた「アップ・アンド・ダウン」と呼ばれる練習法。約20球でマウンドを降り、約6分間の休憩を過ごし、再びマウンドで約20球を投じる。「実際に試合の中で一気に50、60球を投げることはない。そういう意味では実戦向きで良い練習だなと思う」と、今までにない感覚をつかんだ様子だった。米国ではベンチ前でイニング間のキャッチボールが禁止されているが、2日(同3日)の登板ではブルペンでの「壁当て」で乗り切った。

 一方で変わらないものある。キャッチボールではほかの誰よりも時間をかけ一球一球丁寧に投げ込む。セットポジションの体勢で5秒以上静止して動かない時もある。それでいてゆっくり左足を上げ、決して力任せには投げない。「壁当て」も日本ハム時代の試合前日や当日のルーティンだった。人生初の一人暮らしだが「唯一変えていないのは食事の摂り方」と栄養バランスに配慮した徹底した食事管理ももちろん継続している。

 先日、エ軍OBで現オリックス・シニアアドバイザーの長谷川滋利氏(49)がキャンプ地・米アリゾナ州テンピを訪れ、こう話していた。「大谷君もそうでしょうけど、僕もめっちゃ(メジャーに)来たかった。(1年目は)しんどい反面、楽しい感じもあった。そういう楽しみがあればしんどさも乗り越えられる。彼もそういう風に見える」。大谷は変化を楽しみつつ、変えてはいけないものを守っている。まだ見ぬ自分に出会う期待があるからこそ楽しく見える。二刀流挑戦はまだ序章だが、大谷らしいスタートを切っている。(記者コラム・柳原 直之)

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2018年3月4日のニュース