新ポスティング 日米協議は大局的見地で進めてほしい

[ 2017年5月31日 11:00 ]

米大リーグのマンフレッド・コミッショナー(AP)
Photo By AP

 新しいポスティングシステム構築へ、日米間で協議が始まっている。ニューヨーク市内で行われた大リーグのオーナー会議最終日となった5月18日(日本時間19日)に、ロブ・マンフレッド・コミッショナーはポスティングシステムの改正協議について「話し合いを始めた。来季の選手契約の時期(今オフ)までには決める。プロ選手に特化した統一システムをつくりたい」と説明。日米間の新システムを世界統一基準の第1歩としたい考えを示した。

 プロ野球の熊崎勝彦コミッショナーも具体的な言及は避けた上で「日本側として的確な対応ができるよう、交渉のための具体的な検討を開始している。すでに、日米間で協議はスタートしている」と話している。どんな具体策が話し合われているかは定かではないが、ポスティングシステムはなくてはならない制度である。

 もし、交渉が決裂して廃止となったら、困るのは日本球界である。FAになるまで米球界行きの道を閉ざされた場合、まずドラフトを経ずにメジャー挑戦を目指そうとすアマチュア選手が増えるだろう。海外流出が増えれば、日本球界の中にはFA制度の短縮といった議論に発展していくことは容易に想像できる。

 ポスティングシステムは現行の「ドラフト制度」「FA制度」を安定させる役割を担っている。ファンも含めて「譲渡金(2000万ドル)が減ってしまうのでは」「今(譲渡金)より安い金額でスター選手をメジャーに手渡していいのか」という声も上がるかもしれないが、日本の12球団は同制度の善し悪しだけで判断するのではなく、日本球界のシステム全体という大局的な見地からメジャー側と話し合いを進めてほしいと願っている。

 近年はドラフト1位候補が直接メジャー球団入りをすることはなくなった。日本球団の育成システムは決して大リーグにひけを取るものではないし、日本ハムの大谷翔平も世界を代表する選手に育った。2020年には東京五輪も控えるし、日本球界はその先もある。新制度がどういったものになるのか、日本側の対応を注視していきたい。(記者コラム・倉橋 憲史)

続きを表示

2017年5月31日のニュース