柳田V打 試合前の自虐ネタで吹っ切れた「前を向いてやろうと思った」

[ 2016年10月14日 07:40 ]

パ・リーグ クライマックスシリーズ ( 2016年10月13日    札幌D )

<日・ソ>9回1死二、三塁、勝ち越し適時打を放った柳田は雄たけびを上げる
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 ヘルメットが揺れるほど、ソフトバンクの柳田はフルスイングした。土壇場で同点に追いついた9回1死二、三塁。マーティンの真ん中直球を中前へ打ち返した打球は決勝打になった。一塁ベースを踏むと、ベンチを見て笑った。

 「とにかく、前に飛ばそうと思った。(不振で)試合に出たくないと思いましたけど、先輩たちが声を掛けてくれた。前を向いてやろうと思った」

 右手薬指骨折から復帰したCSファーストSは2試合で8打数無安打。9日の第2戦からは右手薬指と小指を巻いていたテーピングも取れたが、状態は上がらなかった。迎えたファイナルSの初戦は3打数無安打(1四球)で連続打席無安打は12に伸び、大谷には手も足も出なかった。「僕より打てる打者はいる。(先発は)他の人でもいいんじゃないか」と、後ろ向きの性格が顔を出した。

 ただ、チームメートは落ち込む大砲を放っておかなかった。試合前には円陣の声出しを託された。悩んだ末、声を張り上げて叫んだのは「あの、私事ではありますが、まだ、ヒットが打てていません…」と自虐ネタ。周囲から一斉に「知っとるわい!」と突っ込まれると、心にかかっていたもやは晴れ、5回1死から打った三塁内野安打がCS15打席目での初安打。決勝打にもつながった。

 逆転突破へ。主砲の復活は心強い限り。柳田は「足を引っ張っていたので、やっと役に立てた。明日からまた頑張りたい」。まだ1勝2敗。だが、日本シリーズへの道はおぼろげながら見えてきた。(福浦 健太郎)

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2016年10月14日のニュース