北海・大西「やりきった」 創部116年目悲願届かずも5戦527球

[ 2016年8月22日 05:30 ]

<北海・作新学院>準優勝の盾を持ち作新学院の選手らと笑顔で写真に納まる北海・大西(右)

第98回全国高校野球選手権最終日・決勝 北海1―7作新学院

(8月21日 甲子園)
 整列を終えてベンチに戻った北海・大西は笑みをこぼした。そして開口一番「やりきったぞー!」と叫んだ。「秋から苦しい思いをして、この決勝を戦えて本当に幸せでした」。そう言うと一瞬だけ目を潤ませた。

 創部116年目で初の決勝進出を果たしたが、初戦から4試合完投した右肘は限界だった。この日朝にはキャッチボールもできないほど悪化。平川敦監督と相談した上、痛み止めの薬をのんで先発マウンドに上がった。「自分がやるしかないという気持ちでした」。3回まで無失点に抑えたが、4回無死満塁からの高いバウンドのゴロを一塁・川村が後逸。さらに連打を浴びた大西は「甲子園は何があるか分からない。相手の方が上だった」と4回途中5失点で降板した。

 昨秋は支部予選初戦敗退というどん底からのスタート。秋季大会後に腰、春先に右肩を痛め、投球練習の再開は6月から。「投げ込みができなかった分、連投で甘さが出た」。大西は敗戦を背負い込んだが、平川監督は「彼のおかげでここまで来ることができた」と感謝した。5試合で527球。魂の投球を見せた大西は「やればできることが分かった。大学でも野球を続けます。大きな舞台で活躍したい」と話した。日本一は後輩に託し、次の舞台へ向け、笑顔で甲子園を去った。 (石川 加奈子)

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