阪神・北條 10回V二塁打 金言くれた坂本先輩の前で恩返し

[ 2016年8月22日 05:30 ]

<巨・神>延長10回2死一、二塁、北條は右中間に2点二塁打を放ち、ベンチに向かってガッツポーズ

セ・リーグ 阪神4―1巨人

(8月21日 東京D)
 超変革の申し子が、伝統の一戦で輝きを放った。阪神・北條史也内野手(22)が21日の巨人戦の10回2死一、二塁で右中間へ決勝の2点二塁打。ベンチスタートの続く鳥谷に替わって遊撃での先発出場を続ける背番号2が、チームの連敗を4で止めた。4位に浮上してクライマックスシリーズ(CS)出場圏内の3位・DeNAにも3・5ゲーム差に迫り、あすから直接対決の舞台、横浜スタジアムに乗り込む。

 たぎる闘志を必死に抑えながら、北條は打席へと歩を進めた。同点で迎えた10回2死二塁の場面で、8回に同点ソロを放っていた上本は勝負を避けられ四球。巨人バッテリーの意図を、人一倍負けん気の強い男が活力としないはずはなかった。

 「上本さんが(前の打席で)本塁打を打っていたので、僕と勝負してくると思って準備はしていました。2アウトだったんで、ここで決めると。強い気持ちを持っていかないと打てないなと」

 1ボール1ストライクからの、左腕・山口の外角へ逃げていくシュートを捉えた。「初球から逆方向を意識してたんで。良いバットの角度で打てた」と右中間後方への勝ち越し2点二塁打。本塁への送球間に三塁へ到達すると、両手を突き上げるガッツポーズで、ど派手に喜びを表現した。実は巨人戦50打席目にして自身初打点。伝統の一戦で輝きを放ち、猛虎戦士としての“使命”を果たした。

 憧れの大先輩の言葉を胸に、1軍の舞台で時にもがき、戦っている。プロ4年目にして開幕1軍を勝ち取ると、4月3日のDeNA戦(横浜)でプロ初安打を左翼へのプロ初本塁打で決めた。2日後、東京ドームでの巨人戦で光星学院(当時)の先輩である坂本にあいさつにいくと、祝福もそこそこに叱咤(しった)された。

 「初安打のことは“おめでとう”と言ってもらったんですが、坂本さんには“お前、もっと初球からがっついていけ”ときつく言われた。本塁打は打てましたけど、2軍に落ちたくなくて、結果にこだわって消極的になっていた部分はあったと思う。坂本さんの言葉で大事なことを気づかされました。今でも、思い返すようにはしてます」

 遊撃を守っていた先輩に、春からの確かな成長を強烈な弾道で示した。

 ベンチスタートの続く鳥谷に代わって遊撃での先発出場が続く。経験を積ませる意味合いが強かった積極起用も、今や打線に欠かせない存在になりつつある。金本監督も「ああいう場面で打ってこそ、打者の価値だから。いつも言うように。本当によく、あそこでやってくれた」と孝行息子の躍動に目を細めた。

 「勝つことだけを考えて、やるべきことを頭に入れながら、頑張っていきます」

 チームはCS圏内のDeNAに3・5差に接近した。しびれる秋の戦いへ、北條が引っ張る。(遠藤 礼)

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