球児 連夜の9回で146キロ締め 金本監督「昔をちょっと思い出した」

[ 2016年5月20日 05:30 ]

<神・中>9回、藤川は1イニングを無失点に抑える

セ・リーグ 阪神3―2中日

(5月19日 甲子園)
 阪神は終盤の大ピンチで、球児が底力を発揮した。同点の9回2死一、二塁。ナニータへの5球目は暴投で二、三塁へ走者が進んだ。しかし、4番手で9回を任された右腕は、高めの146キロ速球で助っ人を左飛に料理。サヨナラのムードを呼び込んだ。

 「チームが勝って良かった。(連投は)久しぶりだったけどね。連投は大丈夫。まだまだ(リリーフは)素人なんでね」

 勝利へ導いた守護神は、自らを素人と言って笑い飛ばした。日米通算45勝、223セーブを挙げた実績、経験は猛虎史に輝くものでも、35歳は過去を振り返ることを人一倍に嫌う。

 「昔のことを言っていると前に進まない。過去の)成績だけで抑えられるほど甘くない」

 すでに球界全体を見渡してもベテランの域に達した。それでも立ち止まることはしない。前日18日の中日戦でも1点リードの9回から登板。打者3人をパーフェクトに抑えて日本で4年、1343日ぶりのセーブを挙げた。守護神としてマウンドに上がった瞬間には背番号22当時を思い出した虎党からの大歓声がわき起こり異様な雰囲気となった。実は、その特別な空気を敵も感じていた。

 「鳥肌が立った。あの雰囲気は昔のままだ。今の若手は知らないだろうけど。僕らにはわかる」

 対戦相手の中日関係者もこっそり明かした。「過去の実績だけ抑えられない」。そう謙そんする藤川の言葉を覆す雰囲気が甲子園を包み込んでいたのだ。

 「力で抑えたレフトフライだった。昔の球児をちょっと思い出した」。金本監督も当時を思い出していた。実は試合前の時点から、この夜もマテオの登板を回避させることを決断。その苦しい台所事情をまたも救った。今季初の連投にも1回無失点の好投。甲子園初勝利も手にした。「重要なところで仕事ができるように頑張ります」。昔と違うのは背番号だけだ。今なお頼れる右腕は進化を続ける。 (山本 浩之)

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2016年5月20日のニュース