田面　原口と育成バッテリーで０封デビュー　“超変革の象徴”劇勝呼んだ

＜神・中＞プロ初登板で８回の１イニングを無失点に抑えた田面（たなぼ）
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セ・リーグ 阪神３―２中日

（5月19日 甲子園）
　ハラハラ、ドキドキの１軍デビューだ。今季、育成枠から支配下登録された阪神・田面（たなぼ）がプロ初登板。１回ゼロ封と堂々たる投球を披露した。

　「もちろんゼロで抑える意識で投げた。味わったことのない感じだったけど、しっかり試合に入り込めたので良かった」

　同点で終盤の８回。本来なら勝ちパターンの投手が投げてもおかしくない場面で送り出された。「もっと点差のある場面だと思っていた」。自身も想定外の大抜擢。先頭の堂上を初球の１４６キロ直球で一ゴロに仕留め、地に足は着いた。

　２死二塁と勝ち越しのピンチを背負いながら、最後は代打・野本を内角直球で空振り三振。「ファームでも組んでたので良かった」。原口と球団史上初となる育成出身バッテリーを結成して仕事を果たした。物怖じせず威風堂々とマウンドを降りる右腕の力投に「自分が使うのを怖がるわけにはいかなかった」と金本監督も珍しく手を叩いて喜びを表現した。

　１２年ドラフト３位で入団も１４年オフに育成選手に降格。３ケタの背番号を背負い、必死に鳴尾浜で鍛錬を積み４月１５日に支配下へ返り咲いた。

　１軍昇格を果たした今月１１日。携帯電話には大量のメールが届いた。昨年、３カ月間派遣されたルートインＢＣリーグ・福井のチームメートたちからだった。支配下登録された際には自ら報告したが、今回は仲間たちから祝福してくれた。

　「今でも仲間だと思ってくれているのは嬉しかった。僕には一生懸命やる義務があると思う」

　限られた時間でも、固く結ばれた絆を思い、力の限り腕を振った。

　「こういう場面で使ってくれた監督、コーチ、スタッフに感謝して次も頑張りたい。もう４年目、これからしっかりやっていきます」

　苦しんだ分、大舞台では最高のスタートを切った。サクセスロードを駆け上がっていく。（遠藤　礼）

　◆田面　巧二郎（たなぼ・こうじろう）１９９０年（平２）１２月９日、群馬県生まれの２５歳。桐生商から日産自動車―ＪＦＥ東日本を経て、１２年ドラフト３位で阪神入団。１４年オフに育成選手となり、１６年４月１５日に支配下登録選手に復帰。座右の銘は「向上心」。１メートル７９、８９キロ。右投げ右打ち。