金本監督 粘りに手応え「沢村に助けられたところもあったと思うけど」

[ 2016年4月29日 05:30 ]

<神・巨>9回1死二塁、左前打の江越は三塁送球の間に二塁にヘッドスライディング

セ・リーグ 阪神3―3巨人

(4月28日 甲子園)
 土壇場9回。1死二塁の好機で江越は打席へ送り出された。ゴメスのソロで1点を返した反撃。最大のヤマ場で代打として背中を押された。

 「何も考えずに無我夢中で打席に入りました。(期する思いは)当然ありました」

 沢村の初球フォークを振った。狙っていたわけではない。必死に懸命にフルスイングしたバットを合わせ、三遊間を抜いた。左翼からの送球の隙を突き、一気に二塁へ。頭から飛び込んだ。打って走って好機を広げ、次の原口にプロ初打点の舞台を整えた。

 13試合連続で務めてきた3番を外れた。打順の降格ではない。ベンチ待機を命じられた。前夜は拙守を重ね、直後の打席では見逃しの3球三振。5回で懲罰交代させられ、金本監督からは「ある程度は目をつぶってチャンスをあげているけど、やっぱり競争」と厳しい言葉を向けられた。

 一方で試合前練習では直々の直接指導を受けた。交代も、叱責も、そして、欠くことのない熱い指導も、すべて期待の証しだ。だから、先発を外された一戦でも重要局面で指名された。取り返してこい―。無言のメッセージに応えた。師弟の思いが結実した一打が崖っぷちでの同点を呼んだ。

 仮に無抵抗のまま敗れていれば、本拠地・甲子園での巨人戦同一カード3連敗は14年9月9~11日以来。“シーズン最初”に限れば95年5月2~4日以来、21年ぶりという屈辱だった。難敵の菅野は崩せなくても勝率5割割れの危機で踏みとどまり、金本監督はうなずいた。

 「粘りを見せたといえば、見せたかな。結果的にね。沢村に助けられたところもあったと思うけど。そこ(9回)は自信にしてほしいね。菅野で負けなかったという見方もあるし、そういう風にとらえて。逆転負けの後の大敗。大敗の後の引き分けだから。もう、そこは前向きに前を向いていかないと」

 江越だけではない。あの9回の攻撃。ゴメスの一撃に続いたのは北條だった。7回の無死一、二塁の好機でバント要員として代打起用されながらスリーバント失敗。そのまま二塁で残り、次の打席で左前打して同点の本塁を踏んだ。誰もが未知数の若手。金本監督は失敗は覚悟の上で送り出すことを止めない。だから再起の一歩がうれしい。「これからも一つ一つアピールしていきたいです」。江越も次の一歩を見据えた。(山本 浩之)

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2016年4月29日のニュース