任天堂 マリナーズ経営から撤退 92年買収、イチら侍の挑戦橋渡し

[ 2016年4月29日 05:30 ]

2010年9月18日、任天堂の広告を背に二塁内野安打を放ち、日米通算3500安打を達成するイチロー

 マリナーズは27日、過半数の株式を保有し筆頭オーナーとなっている任天堂が、10%の保有分だけ残して、地元企業グループに株を譲渡することになったと発表した。球団の経営権を手放すこととなり、ハワード・リンカーン最高経営責任者(CEO)は退任する。株式の売却は今年8月に行われる大リーグのオーナー会議の承認を経て正式に決定する。

 マリナーズは92年、故・山内溥(ひろし)氏が社長を務めていた任天堂を中心とするグループが買収。日本企業初の大リーグへの資本参加として注目を集め、00年11月にイチローと契約した際には京都市の任天堂本社で入団会見を行った。このほか佐々木主浩、城島健司ら日本のスター選手を次々に獲得し、日米球界の橋渡し役としても貢献。04年には山内氏が個人で出資する持ち分のすべてを任天堂の米国子会社が買い取り、それまでの保有分と合わせ、50%以上となった。

 しかし、山内氏が13年に他界。さらに球団運営に深く関わった岩田聡前社長が昨年7月に急逝し、球団への関与に区切りをつける形となった。リンカーン氏は会見で「山内さんが24年前にこの球団を買収した際、大リーグ機構から承認されるために大変苦労された。この球団をシアトルに残せたことを誇りに思う」と語り、「地元のグループが経営権を握ることは山内氏も望んでいたこと」と明かした。

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2016年4月29日のニュース