藤井、泣き笑い男前締め…心残りは「ビールかけしたかった」

[ 2015年10月14日 05:30 ]

<阪神・藤井引退会見>涙ながらに引退会見を行う藤井

 阪神の藤井彰人捕手(39)が13日、今季限りでの現役引退を表明し、西宮市内の球団事務所で会見を開いた。98年ドラフト2位で近鉄に入団し、身長1メートル70の小さな体ながら楽天、阪神と3球団で活躍。阪神では「男前」の愛称でファンから愛された名捕手は、涙あり、笑いありの会見で現役生活に別れを告げた。

 涙あり、笑いありの“男前”会見だった。CSファーストS敗退から一夜明けて行われた引退会見。藤井は別れを惜しむようにタテジマのユニホームを着て会場に現れた。今季限りでの現役引退を正式表明。17年間のプロ野球人生を振り返り、複雑な心境を吐露した。

 「少し寂しい。優勝できなかったことと、もっとやれたということと。きのう試合が最後の試合になって悔しい思いもある」

 現役最後の試合は悔しい結果に終わった。1勝1敗で迎えたCSファーストS第3戦で巨人に敗れて終戦。リーグ優勝に加え、日本一の夢も幻に終わった。だが、11日の第2戦では先発出場して勝利に貢献。レギュラーシーズンからバッテリーを組んできたメッセンジャーの持ち味を好リードで引き出した。

 「いつも気持ちのこもったボールを投げてくれたし、いろんな投手の中で、特にメッセンジャーには感謝している」

 捕手が固定できない苦しいチーム状況で、39歳のベテランは捕手ではチーム最多の71試合に出場。しかし、近年はケガも多かった。昨季は右足甲と右肘を痛めて離脱。今季は開幕マスクを梅野に譲るなど先発出場は50試合にとどまった。「昨年、一昨年ぐらいからケガも多かったし、体の面がひとつの原因だった」。体力の限界を感じ、9月には今季限りでの引退を決意した。

 会見で支えてくれた家族の話題を振られると大粒の涙をこぼし、「娘も、運動会を休んで最後の試合に来てくれた。家族サービスしていきたい」と感謝。やり残したことを問われると、「ビールかけ。日本シリーズはあったけど優勝経験がなかったですし。いつもテレビで見て、良いものだなと、悔しいなという思いはあった」と答えた。

 98年ドラフト2位で近鉄に入団。楽天、阪神と渡り歩いてきた。最後に「取りえは?」と聞かれて「顔ですかね」。笑顔で現役生活を締めくくった。球団側は2軍コーチなどのポストを用意する方針。誰からも愛された猛虎が誇る男前には夢の続きが待っている。

 ◆藤井 彰人(ふじい・あきひと)1976年(昭51)6月18日生まれ、大阪府出身の39歳。近大付では2年夏に甲子園出場。近大を経て98年ドラフト2位で近鉄入り。04年オフ、球団合併による分配ドラフトで楽天へ。10年オフにFA権を行使して阪神入り。1メートル70、80キロ。右投げ右打ち。

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