カブス、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の予言Vなるか

[ 2015年10月14日 08:56 ]

今季、快進撃を続けるカブス

 大ヒット映画の予言は現実となるのか。全米の野球ファンと映画マニアを熱狂させているのが、大リーグ・カブスの快進撃だ。

 ペナントレースはナ・リーグ中地区3位だったが、一発勝負のワイルドカードゲームで同地区2位パイレーツを撃破。同地区優勝で、今季両リーグ通じて唯一100勝を飾ったカージナルスとの地区シリーズでも、13日の第4戦を制して3勝1敗としてリーグ優勝決定シリーズ進出を果たした。

 なぜ映画マニアまで絡むのかというと、1989年に公開された「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」の存在。映画ではマイケル・J・フォックス演じる主人公マーティ・マクフライが、1985年から2015年10月21日へとタイムスリップ。町中で流れるホログラムのニュース速報で「カブスがワールドシリーズに優勝」という一報が流れるのだ。

 予言の実現に胸躍らせるファンは多い。さらに作中では、カブスはマイアミのチームにスイープ(全勝)したと流れる。これにマーティは「何言っているの?ドク」と驚く。そう、当時は、フロリダ州にはプロ野球チームは存在していなかったのだ。

 93年にフロリダ・マーリンズが誕生し、3年前の12年にマイアミ・マーリンズと改称したばかり。実際には同じナ・リーグに所属するため、ワールドシリーズでの対戦は実現しないわけだが、マーリンズ誕生という予言は的中したともっぱらの評判だ。

 映画を見ると、当時は夢物語だったはずのアイテムやアイデアが、実際に今日では実現していることに驚かされる。薄型大画面テレビやビデオ通話、アイパッドのようなタブレット端末、指紋認証システムなどなど。世間に浸透していないが、自動靴ひも調整スニーカーや、空飛ぶホバーボードや空飛ぶ自動車も試作型はつくられているという。

 1907、08年の連覇以降、100年以上もワールドシリーズ優勝から遠ざかるカブス。同シリーズ進出さえ、1945年を最後に果たせていない。その年のワールドシリーズでヤギの入場を断り、飼い主が「もう2度とワールドシリーズがリグリー・フィールドに来ることはない」と言い放ったことが「ヤギの呪い」と伝えられるほど、長く低迷が続く。昨年までも2年連続地区最下位に沈んでいた。

 映画の脚本を担当したボブ・ゲイル氏はシカゴ・デイリー・ヘラルド紙の取材に「当時は最も考えられないシナリオの一つとして採用したんだけどね。もはやジョークとは言えないね」と快進撃を見守る。

 ちなみにマイアミ・マーリンズの件ではいくつか間違いを犯した、とも証言。後にチーム名を「ゲーター(ワニ・フロリダ大のマスコット)」と名付け、結果的にマイアミに誕生した新チームはナ・リーグに所属してしまった。ワールドシリーズも9試合制に拡張されると読んでいたのか、作中では5連勝(現実には4連勝で決着)としている。また今年のワールドシリーズは全勝決着なら10月31日までだが、プレーオフが拡張前だった当時では10月21日が決着時期として妥当だったとのこと。ただ、2015年までにはマイアミに野球チームが誕生するのでは、という予感は抱いていたという。

 マーティーが未来へ飛んだ日。2015年10月21日まで、いよいよあと1週間。日本でも6日からバック・トゥ・ザ・フューチャー公式カフェが池袋や船橋など、全国5カ所でオープンした。WOWOWでは20~22日で3話を一挙放送。当然21日には、「~2」が放送される。国内複数映画館でも、1日限定の放映が企画されている。ペプシコーラは作中に登場した「ペプシ・パーフェクト」の販売を決めた。

 21日のメジャーリーグは、リーグ優勝決定シリーズの真っ最中。果たしてカブスはそこまで快進撃を続けられるのか。そして、その先の行方は。予言的中の暁にはカブスファンの狂乱に加え、バック・トゥ・ザ・フューチャー・メモリアルイヤーの盛り上がりもクライマックスを迎えるのは間違いない。(後藤 茂樹)

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2015年10月14日のニュース