巨人・阿部の「一塁手転向」決断(2)戸惑い拙守も打撃には光が

[ 2014年12月27日 09:00 ]

8月7日のDeNA戦、三浦(右)の打球を坂本が好捕も、阿部の拙守で追加点を許す

 真夏の横浜スタジアム。巨人ファンは思わず頭を抱え、大きなため息を漏らした。8月7日のDeNA戦。今季初めて一塁の守備に就いた阿部は、拙守を連発した。自身へのふがいなさから足元を見つめて、唇をかみしめるしかなかった。

 0―1の2回。先頭の山崎が放った一、二塁間への緩いゴロをいったん追いかけたものの、ベースにつくことを優先してしまい、二塁の井端に任せて内野安打に。さらに、1死二塁から三浦の中前へ抜けそうな打球を遊撃・坂本が好捕したが、阿部は抜けると判断して中継プレーに入ろうとベースを離れたため、送球した一塁はガラ空きだった。お粗末なプレーの連続で追加点を奪われ「こういう時ほど難しい球が来る」と神妙な面持ちで振り返った。

 シーズン終了後、あらためてこの試合を尋ねてみると「あの“好プレー珍プレー”に出そうなやつね」と苦笑いしながら語り始めた。打撃復調を最優先として一塁で先発出場したが「心の準備が全くできていなかった」という。一塁としての動きを完全に忘れていたのだ。頭の中を整理できず、打球判断に迷いが生じ「あれしなきゃこれしなきゃ、と考えて裏目に出てしまった」。14年目のベテランも、突然の一塁起用にはさすがに対応できなかった。

 一塁は「特殊なポジションで難しい」と痛感する一方、打撃面では確かな光を見いだした。9回先頭で三浦から右翼席へソロ本塁打。7回の第3打席でも右前打を放ち、4打数2安打。「体への負担が全然違った。捕手をやるときの10分の1ぐらいしか疲れない」。バットでは、いきなり首脳陣の期待通りの結果を出してみせた。

 手応えを感じた原監督は、コーチ陣から捕手へ戻すよう進言されても我慢した。2週間、一塁で先発起用された阿部は、13試合で打率・294、3本塁打、6打点。急激に快音を響かせ始めた。「捕手だとリードや配球をどうするかが中心になるけど、一塁だと打撃に集中できる。良い方向にいった」と語る。

 シーズン終盤は、一塁と捕手で併用されるようになった。たまに捕手で出場すると余計に実感した。「捕手ってこんなにしんどかったんだって」。練習の大切さにもあらためて気付かされた。体と心に余裕が生まれ、試合前には早出練習でダッシュを繰り返し、ロングティーで打ち込むようになった。それこそが原監督の真の狙いだった。

 オフ。プロ野球人生で最も苦しんだ一年を終えた阿部は?藤していた。捕手を続けたい。それでも、打撃を優先して負担の軽い一塁に挑戦するべきか。そして、新たな野球人生のスタートを切る決断へと導かれていった。

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