松井号泣 10Kも2発で終戦 自己最速149キロ「勝たなきゃ意味ない」

[ 2013年7月26日 06:00 ]

9回3失点で横浜に敗れ、ベンチで号泣する桐光学園・松井

神奈川準々決勝 桐光学園2―3横浜

(7月25日 横浜)
 怪物左腕の短すぎる夏が終わった。第95回全国高校野球選手権大会(8月8日から15日間、甲子園)の神奈川大会準々決勝で、桐光学園の松井裕樹投手(3年)は横浜と対戦し、2―3で逆転負けを喫した。8回8安打3失点で完投したが、昨秋の新チーム結成後初被弾となる2本塁打を浴び、2年連続甲子園出場の夢は途絶えた。昨夏1試合22奪三振の大会新記録を樹立した舞台に戻ることはできず、号泣した。

 ネクストバッターズサークルで敗戦を見届けた。昨夏甲子園で準々決勝で敗れた光星学院(現八戸学院光星・青森)戦と同じ光景だ。両チーム整列。松井は我慢していた。一礼後、涙をあふれさせた。試合後の会見。目と鼻は真っ赤だった。

 「自分がしっかり投げていれば…。入学してから3年目の夏を目指してやってきた。そこで負けてしまって悔しい」。目を手で覆い、声を詰まらせ、嗚咽(おえつ)しながら声を振り絞った。

 2発に泣いた。1点リードした直後の7回1死一塁、2番・浅間に投じた初球、144キロ直球。捕手の田中が構えた外角ではなく、内寄りに甘く入った。逆転2ランを右翼席に運ばれると、マウンドでぼう然とした。4回にも4番・高浜に一時同点のソロを被弾。高めに浮いたチェンジアップをバックスクリーンに運ばれた。昨秋の新チーム結成後、初めて浴びた一発。そして2発目。「打たれたのは失投で自分の実力がなかった。甘く入りました」と悔やんだ。

 春夏甲子園で5度の優勝を誇る横浜との対戦。昨夏の県大会準々決勝で倒した強豪だった。雪辱に燃える相手に対し、球速は自己最速を2キロ更新する149キロを計測。1点ビハインドの8回には3者連続三振を奪い、意地を見せた。今大会3試合目で初の2桁10奪三振。打っても8回に先頭で中前に運び、中堅手が後逸する間に三塁へ。足をもつれさせながら激走したが、同点のホームを踏むことはできなかった。

 「(調子は)悪くなかったけど、勝たなければ意味がないです」。神奈川県内の高校が「松井包囲網」を敷く中で迎えた大会だった。「見えないプレッシャーもあった」と野呂雅之監督。松井の最大の武器はスライダーだ。縦に落とし、低めのボールゾーンで空振りを奪う。だが、横浜に見極められる場面が目立った。松井もチェンジアップを習得して投球の幅を広げていたが、高浜に一発を浴びたように精度はまだ低い。直球に頼り、球威が落ちた7回、浅間に完璧に捉えられた。

 今後の進路については「何も考えられない」とだけ語った。ただ5月中旬の春の県大会後に両親を交えて野呂監督と進路に関する面談を行い「高いレベルの場所で野球を続けたい」と話していた。メジャーも注目する逸材だが、関係者によれば「国内プロ野球への思いが強い」という。国内プロ志望を正式表明すれば、95年ドラフトで高校生としては史上最多の7球団から指名を 受けた福留(PL学園、現阪神)を上回る8球団以上の競合になる可能性もある。松井の夏は終わった。だがドラフトへ向け、各球団の獲得合戦はこれから始まる。

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